2001年4月のみことば

 

 

「滅びることのない言葉」

                          

 それから、イエスはたとえを話された。「いちじくの木や、ほかのすべての木を見なさい。葉が出始めると、それを見て、既に夏の近づいたことがおのずと分かる。それと同じように、あなたがたは、これらのことが起こるのを見たら、神の国が近づいていると悟りなさい。はっきり言っておく。すべてのことが起こるまでは、この時代は決して滅びない。天地は滅びるが、わたしの言葉は決して滅びない。」

                         (ルカによる福音書2129節〜33節)

 

 「はっきり言っておく、すべてのことが起こるまでは、この時代は決して滅びない。天地は滅びるが、わたしのことばは決して滅びない」。主イエスが終末に臨む私たちがどのような希望を持って生きるべきかについて語られた結論は、「滅びる」という言葉を回転軸にして「滅びない」「滅びる」「滅びない」となっています。何が滅び、何が滅びないのでしょうか。

 「これらすべてのものが起こるまではこの時代は滅びない」これが第一のことです。これは、「滅びる」と簡単に言い切ってしまうべきものが「滅びない」という現実があることを教えています。不正な王の支配、無意味に見える災難や災害、この時代、命あるものが経験することは、すべてが過ぎ去って行くということです。しかし、私たちが終わるべきもの、過ぎ去るもの、滅びるものと考えているものも、主の時の順序を経なければ「滅びない」と語られているのです。私たちが今生きているのは、このような時です。従って、主の時に身を委ね、この時の意味をしっかりと捉えつつ忍耐しなければなりません。

 次は「天と地は滅びるであろう」です。ここで、「滅びる」と語られているものの規模の大きさに注目しなければなりません。「天と地」は不動のもの、変わらないものの代名詞であるはずです。仕事、国土、いえ、先祖、伝統、ふるさと、これらは変わることのない天と地に根ざして多くの人の生き甲斐を与えてきたものでした。しかし、主イエスは、これも確かに「滅びる」というのです。滅ぶべきものを滅びないと妄想することによって希望を持つような生き方は、終末の光の中ではその光を反射することはできません。

 第三は「私のことばは決して滅びない」です。ここで「滅びない」のは「ことば」という目に見えない、風のように消え去ってしまう何の実体もないようなものであることは興味深いことです。主イエス・キリストのことば、それはただ主が語られたことばだけでなく、主の生と死、復活の全体が「ことば」です。このこばだけが、天と地が滅びても滅びることはにないと・・・・。このことばが天と地を創り、このことばが光となって暗闇を照らします。私たちが確かに持っているのは「この時代」でも、「天と地」でもなく、ただこの「ことば」だけです。私たちは今「ことば」である主イエス・キリストを知っており、交わりを持っています。この滅びないことばを。

 

                           上尾合同教会 秋山徹牧師

 

 

 

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