UML

日経コンピュータなんかでも特集を組んだりするくらい、UMLについては 名前を知られるようになってきました。ただ若干UMLについて誤解がある、 乃至は誤解を招きかねない紹介が多いように感じています。 一番懸念するのがUMLは高品質なソフトウェアを設計するツールだ、という 誤解です。さすがに日経コンピュータの特集(2003年12月1日号)には明記 されていますが、UMLはその名(Unified Modeling Language)の通りモデリング のための言語(というか図の様式というか)です。設計言語ではないのですね。

UMLの様々な図を作成することでシステムを的確にモデリングする事がやり やすくなりました。システム化したい対象をモデル化するとか、既存システム をモデル化する、あるいは設計したシステムの内容を記録して他の人に確実に 伝える、といった用途にはUMLが適しています。

逆にUMLが書ける(描ける)ような段階ならばシステムの設計は既に終えている といえます。UMLにはどのようなプロセスを踏めば各種の図が描けるか、という 点については何も提供してくれません。実際の設計作業、あぁだこぉだと考える 作業はUMLを書く前の段階として存在するわけです。

勿論UMLの色々な図を書きながら設計作業をする、という方法もあるわけですが、 UMLの各種の図はどれも書くのが結構大変で、設計のための道具としては多少大仰 です。そういった作業を支援するツールや方法論はUMLの外側にあるわけです。

Rational社なんかはそういう方法論としてRUPを提唱していますし、他にも色々な 手法があるでしょう。何がベストかはまだ良くわかりませんが。

ちなみにUMLはOMGが策定していると紹介されますが、そしてそれは間違いでは ありませんが、やはりその原点はオブジェクト指向方法論の3巨匠である、 Rombach、Booch、JacobsonがRational社に集まった(==利害関係が明確になった) 事によるわけで、その事実(幸運)は忘れないでおきたいものです。UMLを作ろう としたのは、方法論の統一は後回しにして表記法だけでも先に統一しようとした 彼らの判断によるものですから。


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