Webのプログラミングに関する掲示板なんかで「初心者歓迎」 「お気軽に質問してください」といった案内があるのに、いざ初心者が質問すると、 やれ「質問のしかたが悪い」だの「ちゃんと理解しているの?」だの、 「全然初心者に優しくないじゃないか」と思うような事があります。 質問するのは解らないからなのに、なかなか知りたいことを教えてもらえず、 あれしろ、これしろと言われもういやだと感じるのか、二度とその掲示板に戻って こない人もいるようです。どうしてこんな事になるのでしょうか。
それはおそらく聞く側と答える側の意識のずれがあるから なのでしょう。プログラミングに関する掲示板なんかで回答をする人は、 初心者とはこれからプログラミングを勉強しようとしている人のはずだという意識 (あるいは思い込み)があります。このため質問者の勉強になるようにと、 回答をずばり書くのではなく質問者が自分で調べて回答にたどりつくように、 どこを調べればよいのか、どういう調べ方をすればよいのかといった方針を 提示することが多くなります。そこには質問者がいずれ自分でプログラムを ばんばん書くようになれるよう、自分で疑問を解決してゆく力をつけて欲しい という気持ちが少なからずあるのです。
一方質問者は必ずしもプログラムの勉強をしたいという訳では無いというのが 現実です。目の前の問題をなんとかしたい、というかなり短期的な成果を期待して 質問していますから、遠回しな助言は嫌がらせにしか聞こえなくなっています。 実際回答者の書いた回答の字面だけをみると嫌がらせをしているのでは、 と思われてもしょうが無いようなぶっきらぼうなものも多いようです。
また初心者という人にはプログラミングの初心者であると共にこういった電子 掲示板の利用についても初心者であることが多い事もかみ合わない一因だと 思われます。電子掲示板といってもただのコミュニティの一つですから、 気軽に聞けばよいし気軽に答えれば良いのに、と思う人も多いでしょう。 ただ電子掲示板というのはその性質上過去のやり取りも大体残っています。 今誰かがした質問は過去にも別の誰かが質問している事があります (初心者の質問は大抵そうです)。そしてそれに回答する人は 多くの場合少数の特定の人である事が多いのです。
聞く側は解らないから聞くわけですが、答える側は何度も同じような質問に対して 毎回同じような回答をしなければならず(その手間も少なくないので)、面倒だから 過去の質疑を読んでよ、FAQ調べてよ、となるわけです。でも質問する側は そこまで気が回らない、あるいはそういう仕組みがあることさえ知らない訳で、 先に調べろという方が無理を言っているという気もします。
質問の仕方についても、「なんだかなぁ」と思うようなものが多いのも 確かです。オープンなコミュニティというのは友達にちょっと聞くというの とは違って、見ず知らずの人にものを尋ねようとすることですから、 それなりの礼儀が伴っていないと、いたずらに不快感だけを与えて しまいます。
学校でも先生とタメ口で話すのが普通だと思ってしまっている人が 少なくない現在の日本は、現在の世界の様々な社会の中でも最も礼儀が 失われている処かもしれませんが、だからといってそれが許されない コミュニティも世の中には存在する(というかそれが大半)という事を 「初心者」と自称する人は理解してゆく必要があるでしょう。人生の 初心者は卒業しても良い年齢でしょうから。