ろ ばここから下はポエム

今年の冬は特別に寒くて
血行が悪くてつらかったろうに
何も言わず
左手の小指はしもやけになった

手指に傷の絶えない私は
その痛みもただの切り傷だろうと
放置し
しもやけを悪化させた

ようやく
ほかの指と一緒に
小指を軽く揉んでやると
少し温かみが増して
ひと心地ついたように思われた

赤黒く腫れてきた小指に
オロナインをすり込んでやると
相変わらずみじめな様子だが
少しテカテカして
感謝しているさまがにじんでいた

その姿は
真夏の小さな動物園で
低い柵に寄り添い
四角い背中を黙ってなでられていた
ろばに似ていた

ここまではポエム

詩の雑誌『midnight press』23号の「詩の教室」に掲載して頂きました。