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第41話 「有意義な散歩?」 こんにちは。おいらは、飼い主も家も名前もとくに決めていない犬であります。川ぺりをうろついていると、いろんな人たちと出会います。犬にとっては、勘違いしてしまうこともあるけれど。 ぽかぽかと暖かい日、おいらはついつい眠ってしまいます。だけど今日はちょっと変な感じです。おいら、川ぺりで眠っているつもりなのに、聞こえてくる会話が川ぺりにそぐわない感じなんだ。 例えばこんなお話です。 続けて聞こえてきたお話も、お仕事関係みたい。 こんなお話も聞こえます。 「車が来ないか、歩道からはみ出ている人はいないか、遅れている人はいないかと気を配っていると、なかなか疲れます。でも、今ではすっかりそれが自分の仕事だと。『安心して参加できます』なんて声をかけられると充実した気持ちになりますねえ。」 「○○さんたらひどいのよ。だって、会長・副会長・事務局長・それから古参の方たち、と順番が決まっているのにね、いきなり会長のそばに行って、いろいろおしゃべりを始めちゃって。序列や礼儀というのがわからないのかしら、あの年で! 会長と一緒に歩くなんて十年早いわよ!」 目を開けてみると、おいらがいるのはやっぱりいつもの川ぺりです。そして、すぐそばをたくさんの人がゾロゾロと歩いて行きます。みんな、お揃いのワッペンを腕の所につけています。 「歩こう会」ていうのは、ただ「みんなで一緒にお散歩をしましょう」という集まりだと思うのだけれど、お話を聞いていると、なんだか仕事みたいだね。毎週遠いところへ歩きに「出張」したり、歩いた距離を記録したり、血液検査の結果を気にしたり、人のことまで気にかけたり! こんな人たちは、きっと足元のお花のことも、生まれたばかりのカルガモのひよこがすぐそこで泳いでいることも、気がつかないでセカセカと歩くばかりなのだろうね。おいらは誰かとお散歩するとしても、この人たちとは歩きたくないなあ。 (2007.4月掲載) |
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