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第28話 「こっちの知ったこっちゃない」 こんにちは。おいらは、飼い主も家も名前もとくに決めていない犬であります。川ぺりをうろついていると、いろんな人たちと出会います。犬にとっては、縁のないこともあるけれど。 いつも川ぺりで散歩しているおじさんたちが、今日は選挙の話をしています。選挙というのは、「おねがいしまーす」とペコペコ頭を下げて、ポスターを貼ったりすることだよね? そして最後の日に、ペコペコしてた人の中から何人か選んで、その人たちに町とか国とかの難しいことを決める役を任せるのです。それが「議員さん」なんだよ。 「・・だけどさ、安○、麻○、谷○、候補者は3人とも、親父さんの後を継いだ世襲議員だよなあ」 「世襲ってのは結局、親父さんの地盤や看板やら、そっくり受け継ぐんだものなあ。『世襲なりの苦労や努力があります』なんて言われたところでさ、こっちの知ったこっちゃない。御神輿に担がれてお気楽なもんだとしか見えないよなあ。」 おいらは親のことも知らない犬だから、受け継ぐジバンもカバンも犬小屋もないよ。少し昔に『総裁』になった人で、そんな人がいたらしいけれど。 あれれ? おじさんたちは、自分たちが選べない選挙の話をしていたのだね。ていうことは、「総裁」というのはこの川ぺりの町には関係なさそうだなあ。お話聞いてて損しちゃった。 (2006.9月掲載) |
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