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第8話「株とダンス」 こんにちは。おいらは、飼い主も家も名前もとくに決めていない犬であります。川ぺりをうろついていると、いろんな人たちのお話が聞こえてきます。 「さて、と、次はどこにしようかな。」 ああ、聞いたことのある話だよ。「アイティー」とか「株のとりひき」とか、川ぺりを散歩する人も話しているよ。晴れた日に遠くに見える、都会の大きなビルなんかに関係ある話らしいんだ。 先生はなんだかまるで、「株」のことをよく知ってるみたいです。気がつくと、窓越しにおいらに向かって話しているらしいので、おいらも先生の顔をじっと見ました。 ふうん、「株」ていうのはダンスみたいにおもしろいものなのかなあ・・?と、おいらが犬の小さい頭で考えていると、先生はふいに音楽を流して踊り始めました。今読んでいた新聞をくしゃっと丸めて放り投げたり、床に散らした新聞に寝ころんで体に巻きつけたり、と思ったらビリビリっと破ってパッとまき散らしてみたり、かじってみたり!ワクワクして見ていたら、先生の動きが止まりました。おいらをじっと見てひとこと、
(2005.11月掲載) |
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※舞踏家の大野一雄さんについて書かれた本の中で、「舞台袖で株式市況を聴きながら新聞を読んでいるのに、時間になるとパッと切り替わって踊り始める、それぐらい踊りが日常と当たり前につながっている人だった」という話を読んだのです。そのことと、2005年当時に世間を騒がせていたIT起業家などの話をからめてみました。 | |||
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