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はしらのはなし・10番


(足元からは、外れくじを栄養にして育った?雑草が生える)

 私のすぐ横には、宝くじ売り場があります。宝くじというのは、数字の書いてある券を何枚か買い、抽選で同じ数字が出ると、お金がもらえるそうですね。

 この売り場で、必ず「10」が下2けたに入る数字を選んで買う人がいました。どうやら、私がここに立っていることで縁起を担いでいたようです。抽選の結果、外れたときには、私の足元に外れくじをばらまいてゆきました。当たったときには、数百円であれ、私の方を向いて手を合わせて拝んで行かれました。ただのモノレールのはしらである私を拝むなんて、他人から見たらふしぎな光景だったことでしょう。

 私たちモノレールの修繕費用も、宝くじを買って当てればよかったかなあ。廃線になってしまってから気がついた、目端の利かない10番です。

(2004年9月・記)


(10番は取り壊される時期が早かった。)