茶の湯の心得として
「夏は涼しく 冬暖かく 炭は湯の沸くように 茶は服加減のいいように」とあります。
幾度か真夏の正午の茶事を経験しましたが、やはり、夏は朝茶事がいいですね。
朝の涼気の中での席入りは格別です。
2012年7月28日〜8月15日
久しぶりの朝茶事です。
7月28日
昔からネットの世界でお世話になっている方がお客様です。
実を言うと、この方は私のあこがれの君なのです。
常もそうですが、常にも増して心を込めて準備をしました。
席入りは午前8時です。
朝茶事では懐石の前に炭を置きますが、
前の晩に洗って湿り気の残っている炭を使いますので、
懐石の間にとろとろと火が熾きるように按配します。
懐石の間に、ゆっくりと湯が沸いて欲しい、、、そんな気持ちで炭をしっかり洗いました。
ところが湿り気が残りすぎていて湯は沸かず。
過ぎたるは及ばざるがごとし、良い勉強をしました。
8月7日
社中の稽古茶事です。
朝茶事ですが、席入りはいつもの稽古時間と同じ午前10時にしました。
初めての方が亭主を担当しました。
良く「茶道を自分に近づけるのではなく、自分が茶道に近づく」と言いますが、
とても落ち着いた亭主振りで、普段の修練、本人の個性が生かされた茶事になりました。
8月9日
席入りは午前8時。友人がお越しくださいました。
この夏の連続朝茶事のために、
日陰になる玄関側に新しく蹲と露地を作りました。
外腰掛に吹く風が心地よいとのお言葉。
きちんとポイントでお褒め下さる巧者です。
気心の知れたお仲間ですから、楽しい楽しい茶事でした。
8月15日
社中の稽古茶事です。
午前10時席入り。暑い日でした。
まだ若い亭主ですが、水屋の事は安心して任せられます。
客の所作は、茶事特有の事がありますので、やはり回数ですね。
主客で御話も弾んで、今回も良い茶事になりました。
今年は朝茶事を4回実施しました。
毎回が、かげがえの無い一期一会でした。
2005年7月3日
以前お招き頂いた素敵な御茶事の、
返礼の朝茶事を企画いたしました。
早朝の席入りになりますが、
遠方からのお出ましにもかかわらず
快い出席のお返事を頂きました。
ちょうど梅雨時で空模様が気になりましたが
幸いにも、降らず、照らずのお茶事日和となりました。
今回は夕茜の100回目の茶事で
拙い私のお茶を育ててくださった方々との、久々の再会でした。
教えを頂戴して、互いに学び、励まし合ったお仲間との二刻は
お茶のご縁の有難さを、実感するものでした。
2001年 8月19日
朝茶事は席入りの時刻が日の出頃という、時間に贅沢な茶事です。
今回のお客様は普段から集い会ってお茶を楽しんでいるお仲間で
特別ゲストとして、他流の茶人を迎えての混合茶事といたしました。
さて、亭主としては寄りつきの様子が気になります。
私は皆様を存じ上げていますが、お客様同士は初対面の方もいます。
なごやかな席になることを願いつつ迎付けをします。
朝茶事は、風炉の茶事でも懐石の前に炭を置きます。
また後炭は省略するのが決まりですから、初炭で風炉中拝見をいたします。
初座が進むにつれて、お客様同士の緊張が少しずつ溶けていく様子が伝わってきます。
安堵の胸をなで下ろしつつ、主菓子は外腰掛けにお出しして席中を改めます。
後座の花選びはとても楽しく、あれこれ考えましたが
茶事のテーマに沿ってヤマゴボウと風船葛を入れました。
後日、お客さまから「後座の花はあなたのお心のようでした」という、
嬉しい書状を頂戴致しました。
早朝から時刻を違えずおいで下さいましたお客様に、感謝いたします。
2000年 8月20日
お世話になった方々をお招きして、自宅茶事をすることにいたしました。
真夏なので朝茶事にしたいと思い、ご都合をお尋ねしたところ
車で誘い合っておいでくださるという返事を頂戴しました。
簾などの設備がありませんので、
自然の力を借りての一会とすることにしました。
幸い、和室には頃合いに朝の光が差し込みます。
席入りの時刻だけ贅沢をして、5時と決めました。
前日に露地にたっぷりと水撒きをして朝を迎えました。
まだ朝靄が残っている時刻にお客様が到着。
朝の涼気が残っているうちに席入りが出来たようです。
朝茶事の懐石は一汁二菜です。
早朝でも箸が進む献立を工夫してみました。
外腰掛けに中立ちして頂いている間、
席中で開くように願って木槿を入れました。
後入りの合図は風鈴にしました。
お客様は皆気心の知れたお仲間です。
楽しくて、いつまでもお引き留めしたい気持ちがしますが、
心を鎮めてあえてお帰り頂ました。
後日、お客様から「立ち去り難かった」の言葉を頂戴しました。
同じ思いでいてくださったようです。