声  明

 

「ハンセン病問題の解決の促進に関する法律」

     (ハンセン病問題基本法)の成立にあたって

 

 全国ハンセン病療養所入所者協議会(全療協)は、1951年、全国組織結成以来57年間にわたり、一貫して強制隔離からの解放と人権の確立、差別の連鎖を断つ運動に全力をあげてきました。

 1996年、典型的な人間差別の法律として国際的に酷評されてきた「らい予防法」の廃止が実現し、2001年辛苦を超えて立ち上がった「らい予防法」違憲国賠訴訟に勝利しました。しかし、そのことによって、ハンセン病問題が解決したわけではなく、私たちは真の人間性の回復とノーマライゼーションの理念を名実ともに実現するために現在もなお間断なく運動を継続することをよぎなくしています。

 国立ハンセン病療養所入所者は、2008年5月1日現在2717人に減少し、平均年齢も79.5歳に達しました。

 10年後には入所者は激減することが予見されながら政府は責任ある展望も将来構想もまったく示すことなく、療養所職員の定員を削減し、予算の縮減を図っています。私たちはこうした一方的な行政改革、合理化政策等を阻止し、強制隔離政策によってうけてきた人生被害の回復を図り、療養所の将来構想の問題などハンセン病問題の全面解決をはかるための基本となる法律の制定を強く念願してきました。

 ハンセン病問題を全面的に解決するため、平素からご尽力をいただいている国会議員のみな様をはじめ、国会請願署名に格別のご理解をいただいた92万人の市民の方々のご支援によって平成20年6月11日基本法がついに成立し、ハンセン病問題の全面的な解決の見通しをあらためて実感しています。

 今後、療養所ごとの将来構想の策定に積極的に取り組むことにより、私たちの望む将来への展望を切り開きたいと考えています。

 これまで私たちに、たまわったご支援に対し、深甚なる謝意を表し声明といたします。

 

2008年6月11日

全国ハンセン病療養所入所者協議会(略称・全療協)