コラム 古賀 勝

      


【2024年05月19日更新】


ばあちゃんのお楽しみ

 うちの連れ合いは、東京の外れに住む孫たちに宅急便するのが何よりの楽しみのようである。よそから貰ったお菓子や、どこかで見つけてきた洋服などを、段ボール箱に詰め込む。荷を受け取りに来る宅急便のお兄さんと、嬉しそうに会話をする。作業中、話しかけてもまともな反応は返ってこない。
送り出して何日目か、荷物が孫の元に届く頃になると、気持ちはそちらに飛んでしまったかのよう。届いた知らせを待っているからだ。ベルが鳴ると、「届いたな!」と一声あげて電話口へまっしぐら。話は弾む一方。
あれからうん十年。孫たちは東京から鹿児島に移り、更に西宮へ、そして再び東京に戻った。それでもその生活スタイルが変わることはない。だから、息子の嫁さんや孫たちと連れ合いの会話は途切れないのだ。羨ましいと思うが、会話を途切れさせるボクが悪いのだから仕方がない。
宅急便を送っていないはずなのに、孫から電話がかかってきた。「おじいさんにですよ」と呼ばれる。やっとこちらに順番が回ってきた。「おじいちゃん、お誕生日おめでとう」に思わず背筋が伸びた。気がつけば、われ86歳の誕生日を迎えていた。未だ幼稚園か小学生くらいと勘違いしがちな孫娘も、間もなく二十歳を迎えようとしている。それでも連れ合いは、駄菓子などを詰め込んだ段ボール箱を宝物のように抱いて、宅急便の店に出かけていった。(2024年5月17日)


お祭り去って

 今年の博多どんたくは、220万人の人出で大いに賑わいました。コロナ禍も吹っ飛んで、街にも活気が戻ってきた感じです。
お祭り騒ぎから1週間が過ぎてお櫛田さんを訪ねると、いつもの静かな佇まいに戻っていました。深緑に覆われたくしだのぎなん(銀杏)も、周りが静かすぎて、つい大あくびをしているように見えましたが・・・。(2024年05月12日)


年取って転ぶ

 最近、ちょっとした弾みで転びそうになる。身内を含めて、転んだときに骨折して、治りが遅い例をたくさん見かける。気をつけているつもりでも、油断することが多くなる。周りを気にせず、何かに捕まって立ち上がるように心がけたい。(2024年05月05日)


この年になっても

 ゴールデンウィーク(大型連休)といっても、とっくに定年退職したボクには関係ない。あるとすれば、安近短のお見本のような博多どんたく見物くらいだろうか。こればかりは、記憶の限り欠かしたことがない。もっとも定年以前でも、どんたく実行委員会のメンバーとして、どっぷりど真ん中に浸かっていた。
昨年は、戦後すぐ開館して今年閉館した東中州の大洋映画劇場の、真ん前に座り込んで見物した。なぜか、そこに行かないと、ずっと気が落ち着かないからである。さて、今年はどのあたりで見物しようかな。(2024年4月28日)


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