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第六十章

レプシウスの死者の書 第二十三章より


 別章。勝利を得たるオシリス=アウフ−アアンク曰く、『願わくは天の門がトト神によりて、又ハピによりて我が為に開かれしめよ。又願わくは我をしてタ−ケブの入り口を通し、大いなる天に到らしめよ。』或いは(他者の云うが如く)『時において』。

 或いは他者の言うが如く、ラアの力をもて。嗚トトとハアピとよ、願わくは汝等、我をして水を支配するを得せしむること、猶セトが此の世に暴風大雨のありし時、其の諸敵を支配するが如くならしめ給へ、願わくは我をして其の肩に大いなる力を持てる聖なる汝等を支配すること、猶美々しく装ひて其の名の不可知なる神が、彼等を支配する如くならしめよ。又願わくは、我をして其の力の大いなる汝等を支配するを得せしめよ。


▽書き下しver.

 別章―勝利を得たるオシリス=アウフ=アンク曰く、「願わくば、トト神とハピによって、天の門が我のために開かれるように。願わくばタ・ケブの入り口を通り、大いなる天に至れるように。」或いは、他者の言うように、「時によって」そうならんことを。
 あるいは他者の言うごとく、ラーの力を持って。
 トトとハピ、願わくば、我に水を支配する力を。セトによって暴風と大雨の引き起こされたとき、その名の不可知なるあなた方がそうするように、我に敵を支配する力を与えたまえ。願わくば、我に、大いなるあなた方を支配する力を与えてください。


※タ−ケブ=「心気を爽快ならしむる冷水の地」の意、だそうだが、なんのこっちゃ…。
※ミイラは水にぬれると崩れてしまうので、この呪文は、大雨によって墓が浸水しないように、という願いを込めたものだと解釈されている。雨の支配者が、知恵の神トトと、ナイル河の神ハピだというのも納得がいく。



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