主な称号
すべてのものの父
主な信仰
ギリシア人が「原初の水(アビュッソス)」と呼んだ、世界の始まりにある水。
エジプト神話の世界観では、まず最初に何も無い黒々とした水が広がっており、そこから最初の神々が生まれて世界が始まったとされる。
世界の始まりについては、大きく分けて二通りあり、ヌンが関係するのはヘルモポリス系の創世神話である。ヌンを含む最初の神々が八柱神
オグドアドとして世界の始まりを作ったという。オグドアドに参加する際の伴侶は、「ヌン」を女性形にしたナウネト(ネネト)。壁画などに登場するときは男性の姿をとる。
世界が創造されたのち、ヌンは大地の下、つまり冥界の奥深くに眠っており、日没後、死せる太陽が戻ってくるのを待っているという。
「原初の水」という名が表すとおり、祖先はなく、いかなる創世神話においても、最初の神は、この「ヌン」から誕生する。
また、誕生殿<マンミシ>においては、ヌンは、母の胎内にある闇に包まれた水=羊水を意味する。
神話
・太陽が生まれ、世界を照らしてはじめて秩序が生まれることから、世界の本質は混沌であると考えられる
・してみると、混沌の化身である蛇・アポピスが「ヌンを飲むもの」と呼ばれているのは、アポピス自身がヌンの分身であるという意味のような気もする
・ちなみに、エジプトにキリスト教が入ってきて両者の信仰が交じり合った結果生まれた「コプト教」の創世神話でも、やはり世界は混沌の水から誕生したことになっている
・ヌンは澱んだ水とされる。海ではなく泥水だったようだ。ヘルモポリス自体がナイル中流の海から遠い地域であったこともイメージの形成に関係しているのだろう。
聖域
神としての聖域はヘルモポリス。
概念としては特に聖域はない。
DATA
・所有色―不定
・所有元素―水
・参加ユニット―なし
・同一化―不可
・神聖動物―なし
・装備品―水を体現する神なので、人の姿をとる時は水壷を頭に載せる