主な称号
静寂を愛するもの、西方の貴婦人
主な信仰
死者の守護者、王家の谷の守り手。名前の意味は「沈黙を愛する女」。人々の悩みの相談相手、迷える魂の調停者にして導き手、喜びと苦しみの審判者である。
別称は「タ・デヘネト」だが、これは彼女の本体であるテーベ西方に位置する、日の沈み行く山の名でもある。つまり墓所を見下ろす山を神格化したものがこの女神なのだ。(山自体がメルセゲル、またはタ・デヘネトと呼ばれていた。) また、この山は「デヘネト・アメンテト」(西方の峰)とも呼ばれる。
静寂とは墓所、死、夜の静寂の場所である。「静寂を愛する」という名は墓所の女神である彼女に相応しい。
職人町ディル・エル・メディーナで絶大な信仰をほこり、職人たちが自作の石碑を多く奉納したという。
また、その石碑から伺えるに、罪を犯した者を盲目にすると信じられていたようだ。
やがて信仰が広まるにつれ、死者の導き手ハトホル、同じくヘビの女神である
レネヌテトや
ウラエウスとも結び付けられた。
この女神は基本的に、鎌首を持ち上げたヘビの姿であらわされる。
主な信者が墓作り職人たちだったため、王家の谷に墓が作られなくなっていくと信仰は廃れ、やがて多くの王たちの墓とともに忘却の中で眠りにつくこととなった。だが、山が本体という珍しい神のため、メルセゲルという名が忘れられても、彼女は今も昔は変わらぬ場所にいて、今も谷を見下ろし続けている。
メルセゲル女神の姿は、完全なヘビもしくは頭部のみが女性のヘビであることが多い。ヘビ頭の女性、という姿はあまり無く、首から下がヘビになっているのが特徴的だ。
神話
・テーベに都があった時代、人々の墓はテーベ西方、つまりメルセゲルの聖域に葬られていた。人々はメルセゲルに守られながら、その膝元で永久の眠りにつくというわけだ。
↓王家の谷を見下ろす、ピラミッド型の山。王家の谷から撮影
この山の山頂からは、複雑な地形の死者の谷の全てが見下ろせるという。
「王家の谷」のすぐ近くにある「王妃の谷」からは、新王国時代に作られたメルセゲル女神とプタハ神(冥界神の一柱)の合祀神殿跡が発見されている。
聖域
テーベ西方
DATA
・所有色―黒、黄
・所有元素―土
・参加ユニット―なし
・同一化―レネヌテト、ウラエウス
・神聖動物―蛇
・装備品―他の蛇神と同一視されるときは太陽円盤を頭上に頂く