■ヴォルスンガ・サガ/ワルタリウス |
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※サガだと分かりにくい人物関係とセリフを、連ドラ風にしてみました。サガといえども、やってるこたぁ恋愛ドラマっす。
※2割ほど、話を勝手に盛り上げてます(笑)
※本編読まれた方はご存知のとおり「第二部」ってのは雰囲気づくりのため用にテキトーにつけたタイトルです。
月曜夜9時放送の月9ドラマ「ヴォルスンガ・サガ」も、いよいよクライマックス。
前回ラストでシグルズと二人きりになったブリュンヒルドの口から毀れた、「あなたを愛していました」のセリフ。これから二人はどうなってしまうのか?!
では、ここまでのダイジェストを、どうぞ。
かつて将来を誓い合った戦乙女・ブリュンヒルドと英雄・シグルズ。決して結ばれぬ運命と知りながら、固く未来を誓い合った二人だったが、シグルズは忘却の酒によってブリュンヒルドを忘れ、別の女性・グズルーンと結婚してしまう。 その女性の兄グンナルのため、グンナルの姿に変身してブリュンヒルドの課した結婚の試練を乗り越えるシグルズ。ブリュンヒルドは訝しみながらも、シグルズの化けたグンナルの求婚を受け入れ、グンナルの妻となる。 かくて運命の歯車は、軋みを上げて回り始める。グズルーンの言葉によりシグルズの裏切りを知ったブリュンヒルドの胸の中で愛は激しい憎悪へと変化する。二組の夫婦の間に蟠る秘密が明かされた今、彼らは、引き返せない道に立っていることに気づくのだった…。 |
―第25話 別離―
<場面はブリュンヒルドの自室。寝台に腰掛けたブリュンヒルドの敵意に輝く瞳が、シグルスを見つめている。>
ブリュンヒルド:
「よくもぬけぬけと、私に逢いにこられましたわね。これだけ酷いことをしておきながら。」
シグルズ:
「君の兄上に言われたのだ。みな、君を心配している。さあ、起きて、広間に出よう」
ブリュンヒルド:
「私のことはもう、ほうっておいて。」
シグルズ:
「何をそんなに怒っているんだ?」
ブリュンヒルド:
「何を、ですって? それが分からないと言うの。あなたは――、あなた自身の手で、私を別の男に譲り渡したのよ!」
シグルズ:
「それは思い違いだ、ブリュンヒルド。君は自分で、自分の夫を選んだのだ。ゆらめく炎を乗り越えて求婚に来た者を夫とする、君は自らそう決めただろう?
そしてグンナルは、炎を越えて求婚に来た男ではないか。君が夫とするにふさわしい王だ」
ブリュンヒルド:
「ごまかさないで。私はすべて知っているのよ。あの時、炎を乗り越えてやってきたのは、あなた!
あなたの奥さんがはめていた、アンドヴァリの腕輪が何よりの証拠よ。共に寝た最初の夜に、グンナル王が持っていったあの腕輪が!」
シグルズ:
「それは…。(言いよどむ)
…しかし、しかしだ、グンナルは僕なんかよりずっと優れた王なんだ。彼は多くの戦功をたて、デーン人の王たちも、ブズリの兄弟も殺してきた」
ブリュンヒルド:
「それがどうしたというの。龍を打ち倒し、ゆらめく炎を越えてきたのは、彼ではないわ。私が結婚の条件として課したことを、グンナルは何一つ出来なかった。それは全て、あなたが私のためにしたこと。なのにあなたは、私をグンナルに、自分よりも劣る男に差し出したのよ!」
シグルズ:
「…もう遅い。君はグンナルの妻、僕はグズルーンの夫だ。僕はグズルーンを愛している、これからも」
ブリュンヒルド:
「私はグンナルを愛したことは、ないわ。あの人に微笑みかけたことなど無い」
シグルズ:
「妻は夫を愛するものだ。彼は優れた王じゃないか。なぜ、そうかたくなに拒む?」
ブリュンヒルド:
「出来ることなら、あなたを殺してやりたい。シグルズ、あなたを恨むわ」
シグルズ:
「僕は、そう長くは生きられないと叔父が予言している。だが、君のことが心配だ。君のことだから、僕が死んだら後を追うつもりだろう」
ブリュンヒルド:
「あなたは私の喜びのすべてだった。それが失われた今、私は生きることなど、どうでもいい」
シグルズ:
「君に生きて欲しい。グンナルとともに生きるんだ。龍を倒して手に入れた財産はすべて君にあげる。だから死ぬな」
ブリュンヒルド:
「どこまでも、ばかな人。私は黄金など欲しくない。力が欲しいのでもない。龍を倒し、炎を乗り越える試練を果たせるのは、あなただけだと知っていたから、結婚の条件にしたのよ。そう、龍の持つ黄金が欲しかったのでも、炎を越える力が欲しかったのでもないの。私はあなただけが欲しかったのに…。」
シグルズ:
「僕だって、そうさ。君を愛していた…」
ブリュンヒルド:
「そう。でも、もう遅いわ、あなた自身が言ったとおり」
シグルズ:
「僕が後悔していなかったとでもいうのか。記憶を取り戻して以来、ことあるごとに、君との誓いを思い出していた。君が僕の妻だったらと…。でも君はグンナルの妻だ。僕にも妻がいる。だから…。」
ブリュンヒルド:
「今さら、なぐさめの言葉はいらない。あなたの、そんな弱弱しい言葉など聴きたくもないわ。思っていたなら、何故何もしなかったの?
もう遅い、すべてが、手遅れよ」
シグルズ:
「ブリュンヒルド…」
ブリュンヒルド:
「触らないで、他人の妻に何をするつもり。」
シグルズ:
「ブリュンヒルド、僕は…」
ブリュンヒルド:
「あなたの望みはかなえられない。このうえ恥を重ねて、あなたの情婦にでもなれというの? まっぴらだわ。不貞を働く妻に成り下がるくらいなら、私は死んだほうがマシ。触らないで、あなたに何かされたら、その場で死んでやるわ」
シグルズ:
「許してくれ、ブリュンヒルド。僕のせいじゃない、あのグリームヒルドの酒が、すべてを奪ってしまったんだ。君との約束も、君の名前も思い出せなかった。この悲しみを分かって欲しい、ブリュンヒルド」
ブリュンヒルド:
「私は、私自身に立てた誓いを破ったわ。"ゆらめく炎を乗り越えた者としか結婚しない"という誓いを。それが破られてしまった以上、私の名誉は消えてしまった。もはや、生きていることは出来ません。さよなら、シグルズ。私は死にます」
シグルズ:
「死なないでくれ! 頼む…君を失うくらいなら、僕はグズルーンを捨てて君と一緒になる!」
ブリュンヒルド:
「もう遅いと言ったでしょう。私は誰の慰めも欲しない。あなたを求めたりはしないわ」
シグルズ:
「ブリュンヒルド…」
ブリュンヒルド:
「出て行って頂戴。あなたとはもう、金輪際よ」
<追い出されたシグルズは廊下で嘆きの声を上げる。その声を、ブリュンヒルドは無表情に聞いている。そしておもむろに立ち上がり、シグルズを殺せとグンナルに告げにゆくのだった…>
―次回予告―
シグルズに決別の言葉を突きつけたブリュンヒルドは、結婚にまつわる不義で夫グンナルを攻め立て、離婚したくなければシグルズと、その息子を殺すよう要求する。弟ホグニは止めるが、妻を失いたくないグンナルはシグルズ殺害を決意する。暗殺を命じられたグットルムの冷たい刃がシグルズの胸に突き刺さり、館に、グズルーンの悲鳴が響き渡る。そのときブリュンヒルドは…
第26話 『シグルズ暗殺』 --ご期待ください!