古今東西・北欧神話
ヘイムダル改造事件
この物語では、数あるヘイムダルの出生説の中でも、「ヘイムダルの父は実はオーディンだった」という説がとられている。
波の乙女たちから生まれた彼は、成長すると父親に会いたくなり、ヴィーザルやブラギと同じように、父親に逢いにアスガルドへ登ることにした。
おりしもアスガルドでは、虹の橋ビフレストの落成式の真っ最中。しかし、誰も、この橋の見張りを引き受けようとする者が居ない。誰だって、そんな辛い役目は、したくない。
と、そこへ、丁度よろしくヘイムダルが現れた。見た目屈強そうで、事情もよく知らないイケニエ君だ。神々は、「やたー、こいつに押し付けちゃえ」と、ばかり、早速、見張り番をしてくれないかと持ちかける。ヘイムダルはあんまり考えた様子もなく、「いいですよ」とか答えてしまう。
神々はいそいそと、「じゃ、番人らしく特殊能力をつけてあげよう」と、草木の伸びる音も聞こえるスゴイ聴力、はるか彼方も見えるスゴイ視力をくれ、さらに、眠らなくても大丈夫なようにしてくれた。
そのあと、角笛ギャラルンホルンを渡して「何かあったらこれを吹き鳴らすように。」と、言った。もぉ何でもかんでも押し付け放題。
そんなわけで、ヘイムダルは虹の橋の番人に就任することになったのだという。
ヘイムダルの能力が、生まれつきじゃなく神々の改造によるものだったというのは…なかなか面白い。
実はサイボーグだったのか。(笑)
この物語の出典元は不明。「巫女の予言」の異本(ハウク本以外)に、ヘイムダルの聴力に関する記載があるようだが、それが元になっているのかどうかは未確認。
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