別名・別綴り/
性別/女性
守護都市/
【主な役割】
酒場の女主人
【神話・資料別エピソード】
「ギルガメシュ叙事詩」に登場し、永遠の命を求めにゆくギルガメシュに「人間にそれは手に入るまい」と忠告する酒場の女主人。
酒場の女主人とはかかれているが、飲み屋のおかみのような存在ではなく、れっきとした女神。ただし古バビロニア語版では名前は出てきておらず、単に「酌婦」と書かれている。
「ギルガメシュ、お前はどこにさまよい行くのか。
お前が捜し求める生命を、お前は見出せないであろう。
神々が人間を創ったとき、
彼らは人間に死をあてがい、
生命は彼ら自身の手におさめてしまったのだ。」(古バビロニア語版)
彼女が神である証拠は、綴りに「神」の決定詞がついていることで判別がつく。専門書などで「d Shiduri」という綴りを見ることが出来るが、この最初の「d」がディンギル=神 という決定詞が存在することを意味している。イシュタルと同一視されることもある女神であり、シュルブという呪文書では「知恵の女神」「生命の守護者」の肩書きを持つという。(「ギルガメシュ叙事詩」岩波書店版の補足より)
なぜ酒場の女主人が女神なのかを疑問に思うところだが、そもそも彼女が登場するのが世界の果てへ向かうギルガメシュの旅の途上である。おそらく人間の到達できない領域に彼女の「酒場」がある。なお、シュメル神話においては酒造りの女神としてニンカシも存在するため、「酒=女神の領域」と言うこともできる。
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【参考】
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