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ウトゥ

別名・別綴り/シャマシュ(アッカド/バビロニア)、シャパシュ(ウガリト)
性別/男性※
守護都市/シッパル(アッカド)、ラルサ(シュメール)


【主な役割】
太陽神、正義の神

【神話・資料別エピソード】
月神ナンナとその配偶女神ニンガルの息子でイナンナの兄。シッパルの主神だが、おそらくウルク市でも信仰された。
また、アッシリアではアッシュル市に月神(スエン?)とともに祭られていた。
※ウガリット神話の太陽神シャパシュはおそらく元は女性だったがウトゥとの習合時に男性に転換している。

空を横切る旅人の道連れとして信仰され、「ギルガメシュ叙事詩」ではギルガメシュとエンキドゥの旅路をサポートしている。
山の間から登場する姿で表現されることが多いが、その山は太陽神の登りくる「天の東門」の近くにあるとされたマシュ山のことである。山の間を切りひらいて昇るという意味で斧を手にしていることもある。夕方になると「天の西門」より下り、ごはんを食べて眠る。エジプトの太陽神のように地下世界(冥界)を西から東へ運行することはしない。夜は寝ている。回送作業しなくていいとか、メソポタミア神話はすばらしくホワイトである。

人間の姿で描かれることも多いが、そうでなければ翼ある太陽円盤で表現される。この絵はエジプトの太陽神ともかぶっている。どちらがどちらの起源というわけではなく、地域が近いので表現形式が似たのだろうと思われる。太陽円盤の姿のシャマシュは、戦場において正義が果たされるようにとの意味からアッシリア時代の碑文では戦闘場面の上部に描かれていることがある。

幸福や長寿を祈願されることもあり、また、太陽そのものなので季節の管理者という役割もある。
シャマシュの妻はアヤ女神。(ウトゥの妻ではない)また、シャマシュの武器はノコギリと天秤(正義の神だから? 旅人の守護神だから?)である。


シャマシュは、古バビロニア時代の北メソポタミアでは、ローカルな都市神であるイトゥル・メル神、アヌニトゥム神、ベレト・エカッリム女神などとともに崇められていた。古バビロニア時代のシッパルの町には、シャマシュの巫女であるナディートゥ(maditu)と呼ばれる女性たちが住まう施設があったという。
ハンムラビ王が全国制覇を掲げ都市国家を次々征服していく時代になると多くの神々が都市の衰退とともに忘れ去られていくが、汎用的な正義の神であるシャマシュはその後も生き残っていく。


●「ルガルバンダ叙事詩」
ウルクの王エンメルカルの王子ルガルバンダが主人公の物語で、エンメルカルは「ウトゥの息子」と呼ばれている。
ルガルバンダにとっても守護神。この物語でのウトゥはニンガル女神の息子と呼ばれている。

●「ギルガメシュ叙事詩」
フンババ退治のために旅をするギルガメシュとエンキドゥを手助けする。天の牡牛殺害後、神々がエンキドゥに死を定めた際は「彼らは私の命で討ったのだ」と庇っている。

●エタナ神話
アッカド語の神話。息子を得たいと望むエタナに、シャマシュが子を授かる草を得る方法を教える。

●ハンムラビ「法典」
シャマシュは正義・裁判の神であるので「天地の偉大な裁判官シャマシュの命令によって、私の正義が国土に明らかになるように」といった呼びかけがでてくる。ちなみにハンムラビ法典は慣例的に「法典」と呼ばれているが法律集ではなく、具体的な「判例集」である。よってこれをもってバビロニア時代に法律があったとする論は実は正確では無い。

●"裁判官"としてのシャマシュ

太陽神であると同時に正義の神でもあるシャマシュは、神々の裁判官でもあり、神々の行為についての成否も決めていた。
ただし、神にも力関係があり、その意見は必ず通るとは限らない。「ギルガメシュ叙事詩」においては、フンババを殺したギルガメシュとエンキドゥはどちらかが死なねばならぬ、と主張するエンリルに対し、シャマシュが、彼らは私の命によってフンババを倒したので罪は無い、と主張しているが、これは退けられてしまっている。正義の神であるシャマシュには、呪礼にまつわるものごとを司る役割もあった。これは吉兆や善悪が占いによって決められていた(いわゆる神明裁判)当時の社会情勢を反映している。メソポタミアの占いには、鳥占い、肝臓占い、夢占いなど様々なものがあった。占いで凶兆が示された場合には、その運命を担当する神々に運命の回避を願うのが一般的な対処法であった。

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【参考】
太陽神シャマシュの性転換 〜元は女神だったのに
一般人「メソポタミアの神様が頭にウ○コ載せてる」

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