フィンランド叙事詩 カレワラ-KALEVALA

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「サイクル」とは?

 前述したように、この「叙事詩カレワラ」は、散逸していたものをリョンロット氏個人の手によって収集・編纂されたもので、もともと全く別の物語として語られていたものも、ひとつにまとめられる上で物語の中に組み込まれてしまいました。
 このため、全編を通じて、なんか繋がりがヘンなところ、前触れもなく出てくる場面などがあり、流しながら読むことが少し難しくなってします。
 そこで、研究者のみなさんは考えました!
 この物語の中には主要な流れのほかに幾つか別の流れがあり、複数の本筋が平行しているのだと。
 リョンロット氏によって一つに編み上げられた物語を紐解いて、元々あったと思われる幾つかの物語に分離しようと試みたのです。
 その中でも、3人の主要登場人物、老賢者ワイナミョイネン・鍛冶屋イルマリネン・若者レンミンカイネンに属する流れは、クライマックスの、ポホヨラの魔女との対決へと結びつく重要なものです。
 ここでは、参考にした文庫の注釈をもとに、それぞれのサイクルを簡単に説明することにします。


A 大サンポ・サイクル

 「サンポ」とは、神話の中に出てくる正体不明の魔法の道具のことです。恵みを齎すものであると同時に、人の手によっても作り出せるという不思議なモノで、いまだに研究者の間では諸説さまざま。この「サンポ」をめぐる物語が、カレワラの主流となります。

 ワイナミョイネン・サイクル

 サンポ・サイクルの中でも、老賢者ワイナミョイネンに関するサイクル。衝撃のエンディングもここに含まれます。友人・イルマリネンも登場。

 カンテレ・サイクル

 この「カレワラ」を歌う上で使われる、カンテレという楽器に関わる部分。ギリシア神話では、琴を発明したのはヘルメス神だということになっていますが、果たしてカンテレは…?

B レンミンカイネン・サイクル

 勇者にして怪傑児、何だか北欧神話のジークフリートを思い出すような勝手気ままな色男、レンミンカイネンを主人公としたサイクル。ほとんど女がらみ(笑)。このサイクルをオーケストラ化した、ティベリウスの交響詩「フィンランディア」は、カレワラ世界のイメージを的確に捉えた素晴らしい作品です。冬に聞くと北国の暗い冬が幻視できますv

C 結婚歌謡

 この物語の舞台となっている地方での、結婚に関する習慣が歌われるサイクル。文化的背景をあらわす部分で、あまりにも説教がましいために私はほとんど読み飛ばした^^; えー加減やなあ…。

D クッレルボ・サイクル

 悲劇の英雄、クッレルボの誕生から死への物語。このサイクルを物語に組み込むために、リョンロット氏はかなり無茶をしたようです。なぜか、クッレルボがイルマリネン宅で下働きをするという…。
 クッレルボもレンミンカイネンと同じく短気で人間離れした英雄だったようですが、リョンロット氏の改変により、かなり人間臭い登場人物に変化したようです。


 以上が、「カレワラ」の中に組み込まれたサイクルとなります。
 このサイトでは、分かりやすいように、各章のいちばん右に、その章がどのサイクルに属するかを付け加えました。最初っから流すもよし、どれかのサイクルに絞って読んでみるもよし。
 簡単サイクル説明でしたー。




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