■フィンランド叙事詩 カレワラ-KALEVALA |
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第31章
Yhdesneljättä runo
かなりシリアスなので、個人的にちょっと苦手なサイクルなんですが。
物語は、クッレルボの誕生より少し前に始まります。
ウンタモとカレルボは同じ起源をもつ2つの部族ですが、この2つは、ちょっとしたことから諍いを起こしてしまい、戦争になります。
ウンタモ族はカレルボ族の村へ攻め入り、ただ1人、身重だった娘を残し全ての者を殺し尽くしてしまいます。この、ただ1人の生存者、カレルボ族の娘から生まれるのが、クッレルボ。
のちに、ウンタモ族から「戦の英雄」と呼ばれることになる少年なのです。
さて、クッレルボは、生まれたときから驚異的な子供でした。
生まれて間もなく、ゆりかごの中にいる時から、殺された父の敵討ちを決意し、ウンタモ族を全滅させてやろうと誓います。その呟きを耳にしたウンタモの人々はこの子を恐れ、水に放り込んだり火の中に投じたりと様々な手を尽くしますが、全く効き目がありません。
生まれながらにして超人的な力を持っており、並大抵のことでは殺せないのです。
気味悪く思った人々は、この子を殺すことを諦め、奴隷として育てることを決めます。何とかして飼い慣らそうというのでしょうか。
しかし、成長したクッレルボは、どんな仕事もこなすことが出来ません。
その超人的な力をコントロールするということを知らないために、船をこげば櫂ごと船を壊してします、子守りをすれば赤ん坊を手荒に扱って殺してしまい、開墾すれば辺りは荒地。
そう、愛されることを知らないまま育った彼は、自分のまわりを思いやる…という人間的な感情を欠いた少年へと成長してしまっていたのです。
これは役にたたない…と悟ったウンタモの人々は、このクッレルボをどこか適当な僻地へ売りつけてしまおうと考えます。
どうやら父の復讐のことは忘れたようだし(その点、飼い慣らすことには成功した)、遠くロシアかカレリアへでもやってしまえば、もう戻って来ることは無いでしょう。
買い手として白羽の矢をたてられたのは、鍛冶のイルマリネン。イルマリネン自身、ただの人間ではありませんから、化け物じみた少年も飼い慣らせるだろうと踏んだのかもしれません。
かくして、奴隷となったクッレルボは、イルマリネンのもとに大金で買い取られます。
けれど、このときはイルマリネン自身もまだ知りません。
このことが、のちにイルマリネン自身の悲劇と、サンポ奪回にまつわる一つの原因へと繋がっていくのだとは…。
{この章での名文句☆}
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