■シャルルマーニュ伝説 |
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つっこみルネッサンス
「パルチヴァール」に登場するオルゲルーゼもかなりのものだったが、このアンジェリカ嬢には遠く及ぶまい。
そんな素敵な姫君の登場である。この美しい姫さんのお陰で、多くの戦いが生まれ、人生狂わされた人続出。死人まで出たくらいである。
それは、ある年の五月のことだった。大帝シャルルは、国中から騎士たちをあつめて御前試合を催すことにした。
騎士といえば、一騎打ち!
騎士といえば、名誉を求め、貴婦人たちにいいとこ見せたい!
と、いうわけで、いつものお決まりのアレ…、美女とご馳走と騎士たちの力くらべ。王の前で、賑やかな宴会が開かれた。
こういう席には、外国からの客人が多く訪れる。だから、アンジェリカが現れても、誰も疑いもしなかっただろう。
彼女はひとりの騎士を傍らに連れ、四人の巨人たちに護衛されて登場した。
その美しさに、骨付きチキンにかぶりついていた騎士は口から肉を落とし、酒に口をつけていた者はぽかんとして手から杯を落としただろう。
アンジェリカは、絶世の美女だったのだ。
彼女はシャルルマーニュの前に進み出ると言った、「ご機嫌うるわしゅう、陛下。わたくしたちは、はるか遠方から来た巡礼です。(※巡礼が、そんなカッコして来るかっちゅーねん) ここにいるのは、わたくしの弟のウベルトです。今日ここで御前試合が行われると伺い、ぜひ陛下の優れた家臣のみなさまに、弟と勝負をしていただきたいのです。負ければ捕虜になっていただきます。けれど、もし弟に勝てば、わたくしを商品としてさしあげますわ」
どっきゅーん☆
男どもの胸はドリームに高鳴った。この美しい姫様が商品に! 傍らにいる付き添い騎士はまだ若く、弱そうだ。
勝てる。これは確実に勝てる! 騎士たちは高鳴る胸を押さえ切れず、我も我もと勝負に挑もうとする。しまいには、くじ引きで挑戦の順番を決める始末(笑)
だがしかし。
この姫様には恐ろしい秘密があったのだ。彼女の正体は、遠くはるかなスキタイ(古代中国)の王女。騎士の本名はアルガリアと言い、姫の弟だった。二人は、スキタイ王の計略により、シャルルマーニュを堕落させるため送りこまれた、異教の使者だったのだ!
どっかの戦隊モノみたいな、凄まじい設定である。
美女に鼻の下伸ばしてる騎士たちの中、この真実を見破ったのは、ただ一人。リナルドの従兄弟マラジジだけである。
魔法使いでもあるマラジジは、神秘のマラジジ☆マジックによってアンジェリカの正体を悟る。そして、災い成す前に、アンジェリカたちを殺そうと計画したのである。
…一人で? もちろん。
騎士たちは美女の色気に惑わされているため、彼の言うことは耳に入れないのだ。マラジジ自身はというと、女にはあまり興味が無かったらしい。まぁぶっちゃけ、従兄弟ラブですから(待て)
その日の晩、姫と弟の騎士は巨人たちが見張るテントで眠っていた。マラジジは魔法をとなえ、巨人たちを眠らせると、テントに忍び込んだ。二人はよく眠っている。呪文がきいていれば、目を覚ますことは無いはずだ。マラジジはそう思っていたのだが、実はアンジェリカは、魔法の指輪を隠し持っており、魔法は効かなかったのだ。その読み違いが、マラジジの失敗につながった。
アンジェリカの寝顔はあまりに美しかった。
それを見てマラジジは殺害を躊躇する。そして、気の緩みから彼は物音をたててしまう。
魔法の効いていないアンジェリカは目を覚まし、マラジジの姿を見つけると大声で悲鳴を上げ、弟をたたき起こした。
「キャー! 痴漢よーー!」
マラジジ大慌て。
「ち、違う。私はチカンではない。その…ただ単に殺しに来ただけなんだってば」
「じゃあ、人殺し!!」
どっちもどっちだ、マラジジよ。
そうこうしているうちに魔法が解け、アンジェリカと弟はマラジジを縛り上げて、人質として彼らの本国へ送られてしまった。なんとも哀れである。
と、いうことは、翌日から突然マラジジの姿が見えなくなったわけだが、誰も、不審に思ってやらなかったのだろうか…。
リッチャルデット「兄さん、最近マラジジさん見ないね。どこに行ったんだろう」
リナルド「あーー? そういや、そうだけど。んー、まぁ、そのうち戻ってくるんじゃない?」
従兄弟の心配してやれよ…。
[アンジェリカ物語はさらに続く!]