新ゾンビ
PREMUTOS
独 1997年 106分
監督 オラフ・イッテンバッハ
脚本 オラフ・イッテンバッハ
出演 アンドレ・ストライ
エリア・ウェルマン
クリストファー・ステイシー
オラフ・イッテンバッハ
『新ゾンビ』というよりも『珍ゾンビ』の方がしっくりくる。ビデオ作品『バーニング・ムーン』で世界中のスプラッター・ファンをゲンナリさせたオラフ・イッテンバッハの劇場作品である。例によってモタモタ感は相変わらずだが、『ブレインデッド』の洗礼を受けたラスト20分のゾンビ合戦は圧巻。チェーンソー(悪魔のいけにえ)や二挺拳銃(ジョン・ウー)や斧(血だらけの惨劇)が大量の血のりとともに乱れ飛ぶさまは、まさに秘宝系映画のヤミ鍋状態。最後に戦車までを動員してゾンビを玉砕するのには、拍手喝采どころか「大人気ない」と呆れてしまった。普通、子供が考えることだよね、戦車でゾンビをやっつけるってのは。
物語の大半は邪神プレミュトスの盛衰の歴史に裂かれている。古代インドから中世の黒死病時代、近代シベリアからナチス下のドイツへと舞台は目紛しく変わり、演出のヘタさもあって、何が何やらさっぱり判らない。とにかくプレミュトスという奴は屍体を蘇らせる能力があることだけはなんとなく判り、あのキリストさまもプレミュトスの御陰で復活したという物凄く背徳的な展開。いいのかなあ、キリスト教社会でこんなこと云って。
背徳の極みはラストである。戦車でゾンビ軍団をやっつけて「やったあ」と抱き合う主人公カップル。と、散らばる血肉がグチョグチョと融合して、なんとキリストさまが復活するのだ(註1)。
「人の血と肉が私を復活させる」。
と宣うキリストさま。しかし、主人公は、
「だからどうした?」。
と手榴弾を手渡し、2000年ぶりに復活したキリストさまは呆気なく爆死。
これ、かなりヤバい描写なんでないかな?。
註1 実はキリストさまではなくプレミュトスなのかも知れないが、説明不足なのでよく判らない。いずれにしても、キリストさまとそっくりの姿かたちではあった。
↑こんなシーンばっかり。
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