ゾンビ'99
SEXY NIGHTS OF THE LIVING DEAD
伊 1979年 90分
監督 ジョー・ダマト
脚本 ジョー・ダマト
出演 ラウラ・ジェムサー
ジョージ・イーストマン
ダース・フナリ
マーク・シャノン
これを見たことがある方ならば「来た来た来た来たッ」ってな感じなんでしょうな。「やっと最低映画館にこれが来たあ」ってね。まあ、それほどにシドい映画なのでありますが、方々でケチョンケチョンに叩かれていることだし、アマノジャクの私としては、ここは敢えて褒めてみようと思う。
DVDで発売された『ゾンビ3』特典の「製作者インタビュー」に目を通した私は、たちまちブルーな気持ちになってしまった。
「視覚効果の技術は進歩したが、そのための費用は莫大なものだ。もうこのような低予算映画は作られなくなるだろう」。
つまり、CGの進歩は反面で、このような手作りの低予算映画を摘み取っていたのである.....。
そんなこと、あってたまるかッ。
高級料亭ばかりが軒を並べたら、雑食の俺は何処でメシを喰えばよいのか?。駄菓子屋の麩菓子や肉屋のコロッケ、屋台のお好み焼きのあの「旨さ」を知らずして何が「美味しい生活」じゃ、ボケ。
底辺にいる人々が、金を儲けるためだけに汗水たらして頑張った、安っぽい手作りの、どうしようもない映画群があったからこそ今日の映画文化が存在するのだ。
そして、こうしたどうしようもない映画群に騙され、呆れ、驚かされて、それでもめげずに食べ続けてきた我々「B級グルメ」がそれを支えているのだ。
そのことをもう少し理解しないと、20年後には映画文化は必ず滅びてしまうことだろう。
『ゾンビ3』が「淘汰され行く映画」であるならば、『ゾンビ99』は「とっくに淘汰されてしまった映画」である。なにしろ監督がジョー・ダマトだもん。「伊太利バッタもん協会会長」みたいな人で、とにかく金儲けしか考えていない。作品の出来など二に次ぎ、三の次ぎ。「金にならなかったら失敗作」という主義主張が素晴らしい。ラウラ・ジェムサー主演の「黒いエマニエル」シリーズで悪名を馳せ、ネタに尽きると「食人もの」と合体させて「食人族対エマニエル」を唱った『猟奇変態地獄』で世界中を呆然とさせる。挙げ句の果てに「ゾンビ対エマニエル」を唱ったのが本作。見せ場はラウラ・ジェムサーがチンポコ噛み切るシーンのみ。映画の3分の2が濡れ場という暴挙。「この映画の主人公はいったい何回射精したのだろう?」と数えながら観るのも一興。こういう気の狂った映画がもう製作されないのは悲しいが(ダマトは99年に他界)、もう20年前の映画を『ゾンビ99』とのタイトルでリリースしてしまう会社が存在する以上(註:アルバトロスじゃないよ)、我々「B級グルメ」の未来は、まだまだ棄てたもんじゃないのかも知れない。
↑見せ場はこのシーンのみ。
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