プラン9・フロム・アウタースペース 米 1956年 78分 白黒 |
60年代アメリカの深夜テレビでイヤというほど放映された、アメリカ人なら誰もが知っている映画である。しかし、劇場公開はされていない(註1)。あまりにヒド過ぎたために買い手がつかなかったのだ。そして、ひと山いくらで売られて、テレビで頻繁に放映されて、そのヒドさがゆえに有名になった。月日は流れて1980年、『ゴールデン・ターキー・アワーズ』という本で「史上最低の映画」に選ばれて今日に至る。 とにかく、これほど瑕瑾の多い映画も珍しい。それを挙げ列ねるだけで一冊の本が書けてしまうほどだ。 |
セットもチャチなことこの上ない。飛行機の操縦席は学習椅子を二つ並べただけ。操縦桿はただの板だ。 物語も不可解そのもので、とても言葉では説明できない。とにかく宇宙人がやってきて、墓荒らしをして死体を蘇らせて自らの存在を市民にアピールしているらしいのだが、その手段がどうして墓荒らしなのか?。まったく理解できない。 なお、この不可解な映画の監督エドワード・D・ウッド・Jr.の恐ろしく数奇な半生は、奇才ティム・バートンにより『エド・ウッド』として映画化されている。彼が本作の製作に向けて暴走して行く様が丁寧に描かれており、本作を見た後だと大爆笑できること請け合いである。 註1 実は59年に添え物として公開されている。 |
備考 |
この映画のことを我が国で初めて紹介したのは、私の知る限りでは、88年頃に『テレビぴあ』に掲載された久住昌之氏のコラムである。史料的価値があるので、ここに掲載しよう。 「『今まであなたが見てどんなにヒドイ映画よりもクダラナイ映画がここにある』という開き直った売り文句の『死霊の盆踊り』。あまりにツマラナクて逆に面白いかな、という裏読みは見事に外れ、本当に死ほどツマラなかった。ボクは夜中にひとりで見ていて、腹が立つより死にたくなった。 |
関連人物 |