女囚701号/さそり 東映 1972年 87分 |
「女囚映画」というジャンルが存在する。元祖はロジャー・コーマン製作の『残酷女刑務所』だと思われる。前半は残酷且つエロチックな拷問やリンチの数々、そして、後半は女囚たちの叛乱。『ナチ女収容所/悪魔の生体実験』から『チェーンヒート』に至るまで、すべてこのフォーマットに乗っ取って製作されている。本作もまたしかりである。 開巻早々、脱獄している松島ナミ=さそり。しかし、無念のうちに捕らえられ、不潔極まりない独房へと入れられる。 |
と、文章化してしまえばたわいもない話であるが、これが監督第1作の伊藤俊也の外連味タップリの演出が奏功して、まったく飽きない1時間半である。 伊藤俊也監督の優れた演出も然ることながら、本作を成功に導いたのは梶芽衣子の存在が大きい。しかし、意外にも伊藤監督は梶を適役とは思わなかったという。前作『銀蝶渡り鳥』での梶の演技が気に入らなかったのだ。 「だから梶君と最初に会った時、僕も若かった.....というか今もって反省している点なんですが、僕は徹底的に相手に自分の気持ちを正直に話すことが相手に対する誠意だと考えるところがあって、僕の彼女に対する『銀蝶』での不満を素直に話して、あれでは僕の『さそり』はやれないという話を一方的にしたんです。相当彼女の自尊心を傷つけたと思いますね。 梶芽衣子の男まさりで勝ち気な性格が「さそり」というキャラクターにマッチしたのである。伊藤監督は波乱万丈な船出を「幸せな出発」と表現している。 「主題曲の『怨み節』の録音の時に、コブシのまわし方が違うと彼女に注文を出したんですよ。そしたら彼女はツカツカってブースに入って来て、じゃあ、監督、歌ってくださいッて(笑)。そういうキャラクターなんですよね」 |
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この他の個性的なキャストについても簡単に触れておこう。 |