とにかく変な映画である。
あの岸田森が大阪弁で「エエか?。エエのんか?」と谷ナオミを犯す。射精の際には『血を吸う眼』をも凌ぐ凄まじい形相で絶叫する。ポルノ映画なのに勃起できない。日活ロマンポルノ史上、最大の問題作である。
要するに「エロ事師」の物語である。
歯医者の診療室にマイクを仕掛け、女子高生が苦痛に悶える声を録音した岸田は、これに猫がミルクを舐める音「ピチャピチャ」、アシカの泣き声「アウッ、アウッ」、大相撲の勝利者インタビュー「ハーフー、ハーフー」をかぶせて「処女喪失の生録音」と称して1本7千円で売ったりしている最底辺の「エロ事師」である。
そんな彼が偶然に、エライさんの愛人=谷ナオミと歯科医の密通現場を押さえた。
「彼女が主演やったらええブルーフィルムが撮れるでえ」
岸田は姑息な手口を用いて谷をスカウト、本番女優へと改造していくのであった。
ラストのバカバカしさは特筆ものである。谷主演でブルーフィルムを撮影する岸田。しかし、途中から男優に焼いてしまって、
「イッたらアカンでえ。イッたらアカンでえ」
それでも男優はイッてしまって、
「イッたらアカンっちゅうにッ」
と男優をドツキ倒す。で、我に返って、
「アカン。わて、焼いてしもた」
ダメだこりゃ。次行こう次ってなオチなのだ。
『傷だらけの天使』以来のコンビである岸田森と神代辰巳監督が楽しみながら撮っているのがよく判る作品である。
バカバカしいと云えば、谷が岸田に洗脳されて、晴れてメオトになるシーン。素っ裸の二人がバックからはめて、ローラースケートを履いて廊下を走り回るのだ。BGMには結婚行進曲が流れ、バカバカしいにもほどがある。
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