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ハロウィン III
HALLOWEEN III: SEASON OF THE WITCH

米 1982年 91分
製作 ジョン・カーペンター
監督 トミー・リー・ウォーリス
脚本 トミー・リー・ウォーリス
出演 トム・アトキンス
   ステイシー・ネルキン
   ダン・オハーリヒー


『ハロウィン』シリーズの3作目と銘打たれてはいるものの、マイケル君は登場しない。まったく別の物語なのである。ジェイソンの出てこない『13日の金曜日』のようなもので、看板に偽りありとはまさにこのことだ。

 第1作の監督であるジョン・カーペンターは何故にこのような「偽りあり」を製作したのであろうか?。
 彼は2作目『ブギーマン』を製作した後、このように考えたのだ。
「このままマイケル君が暴れ回る亜流品を量産するのは愚の骨頂。それよりも、毎年『ハロウィン』と題した別の物語を観客に提供する方が遥かに良心的だ。封切りはもちろんハロウィンに合わせて。シャレてるじゃないか!」
 たしかにシャレたアイデアではあった。しかし、それがこれでは観客は喜ばないわなあ。結局、本作は「マイケル君が出てこないぞお」と怒った観客の暴動を招き(嘘)、シリーズは元の路線に戻って行くのであった。(カーペンターは製作を降番。賢明である)。


 物語はハロウィン・マスクの謎を巡るミステリーとして進む。しかし、穴だらけなので、見ていて腹が立ってくる。
 この謎というのが、ハロウィン・マスクを利用した大量殺戮。マスクにはストーンヘンジのかけらが仕込まれていて、これを着用しながらテレビの「オバケかぼちゃチカチカ」映像を見ると、子供はドロドロと溶けてゴキブリやヘビに化けてしまう(左写真)。
 何故そうなるのかの説明はない。
 何故そうするのかの説明は一応あって、このマスクを製造するオモチャ屋の社長、ケルト族の出身で、この族でのハロウィンとは「いけにえの儀式」だったのだそうだ。で、子供たちを大量に「いけにえ」にするために、ストーンヘンジを1本まるごと盗んできて、こんなマスクを生産して、全米のプライムタイムのTVスポットを買い占めて「オバケかぼちゃチカチカ」映像を流そうとするのであるが、一介のオモチャ屋にどうしてそれだけの資力があるのか?。工場内部の映像によれば、ハロウィン・マスクしか製造していない。ということは1年のうちハロウィンにしか稼げないオモチャ屋なのであって、はっきり云って斜陽産業である。
 しかも、このオモチャ屋の社員たちはみなロボット。子供だましにもほどがある。

 こんな脚本にゴーを出したカーペンターの責任は重い。本作が成功していれば《ハロウィン》シリーズも実り多きものになっていたかも知れないからだ。ところが、後続作はマイケル君がウロウロする愚作ばかり。間もなく8作目があちらで公開される。ジェイミー・リー・カーティスがまだ出ているのには驚いた(註1)。

註1 公開された。観る気もしない。


 

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