オーメン/最後の闘争
THE FINAL CONFLICT
米 1981年 108分
製作総指揮 リチャード・ドナー
監督 グラハム・ベイカー
脚本 アンドリュー・バーキン
音楽 ジェリー・ゴールドスミス
出演 サム・ニール
ロッサノ・ブラッツィ
ドン・ゴードン
ディーン メイソン・アダムス
リサ・ハーロウ
『オーメン』が最初に登場した時は興奮した。その時は666やらハルマゲドンやらのキリスト教用語にはチンプンカンプンだったが、とにかく邪悪な子供が生まれて、その子を立派に育てようとする反キリスト教集団が存在し、しかもその子の養父は政府の要職に付いているという設定が面白かった。子供の出生の秘密を探る神父やジャーナリストが悪魔的な力によって抹殺されるのも凄かった。解説によれば三部作が予定されているという。当然に続編に期待が集まる。
ところが『オーメン2/ダミアン』はいささか期待はずれだった。たしかに仕掛けは大きくなったが、二番煎じの感が拭えなかった。前作では無邪気なガキだったダミアンも己れの宿命を理解し始めていた。しかし、ガキは無邪気だからこそ怖いのであって、前作の凄みはその点でも半減していた。
で、『オーメン/最後の闘争』である。ダミアンは三十路の大人になっていた。そして、子持ちの女とセックスをして、その女に刺されて死んだ.....。
ヘッ?。
これがハルマゲドン?。
こんな結末のために、3作も引っ張ってきたのかい?。
かくして、シリーズまるごとを「最後で台無し」にしたのが、この『オーメン/最後の闘争』なのであった。
『オーメン』が「最後で台無し」にされて10年後、更にとどめの一撃を喰らわす続編が登場した。『オーメン4』である。ダミアンに隠し子がいたという設定で、666の刻印のあるガキに物語はリセット。しかも今度は女の子だよ、と製作者は手招きするが、あのハルマゲドンに落胆した私たちは騙されない。しかし、それでも見てしまうのが悲しい性。それで、あ〜あ、やっぱり見なきゃよかった、とまたしても落胆するのであった。
ところで、三十路のダミアンに扮したサム・ニールはこれ1本で消えるかと思ったがさにあらず。『レッド・オクトーバーを追え!』や『ジュラシック・パーク』といった大作で立派に生き残っておる。つまり、にわかにオーディションでダミアンに仕立て上げられたボンクラではなく、演技派の本物だったってわけだ。
サム・ニールを発掘したことが『オーメン/最後の闘争』唯一の功績だったと云えよう(註1)。
註1 サム・ニールは本作より前の80年に、イザベル・アジャーニがタコの化け物と交わる異色作『ポゼッション』に出演しているが、我が国での公開は88年だった。
↑こんにちわ。ネクタイがちょっと曲ってますが、私がダミアンです。
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