ユズナ&ゴードンの『死霊のしたたり』コンビによるメルヘンチックな小品。盛大にゲテモノ大会をやらかした『フロム・ビヨンド』の後に何故にこれなのかと疑問だが、思うに、大作並みの予算をかけた『フロム・ビヨンド』の元を少しでも取るために、出資者のチャールズ・バンドが「抱き合わせ」で撮らせたのではないだろうか?。
内容は、だいたい諸君が想像した通りである。人形が動き出して人を殺すのだ。しかし、メルヘンチックなその作りが、月並みなプロットを魅力的に、且つ後味のよいものに仕上げている。
主人公のジュディは夢見勝ちな少女だった。しかし、継母はそんなジュディを邪険に扱う。財産目的で結婚した父も、我が娘を煩わしく思っていた。
そんな複雑な事情の一家が嵐の晩に道に迷い、ゴシックな屋敷の軒を借りる。
この屋敷には人形作りを生業とする老夫婦が二人っきりで住んでいた。屋敷の中は人形でいっぱい。ジュディは大喜びだが、両親は「キモい」としか思わない。
嵐はもう一組の迷い人を屋敷へと誘った。朴訥そうな青年と、二人のヒッチハイカー娘である。この娘たちが如何にも悪そうなねえちゃんで、
「骨董品の人形があるんじゃないの?」
「売ればいくらになるかしら?」
「宝石も持ってるかもよ」
と家捜しを始める。そして、案の定、人形たちの制裁を受けるのであった.....。
要するに、「童心を持たざる者は生きている資格なし」と説教する物語である。物欲に捕われ、我が子でさえも邪険にした両親も当然に制裁を受ける。しかし、ジュディに共鳴し、童心を蘇らせた青年は難を逃れる。
後味がよいのは、この部分である。老夫婦と人形たちは、ジュディと青年には手出ししないのだ。二人は「仲間」として認知されたのである。そして、ジュディが実の母の元に行けるように手配し、青年が「ジュディの継父」となることを予感させて物語は終わる。
邪心を持つ者しか成敗されないのだ。
つまり、本作は「童心を忘れざる者」、すなわち、映画マニアたちのメルヘンなのである。
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