アリゲーター 米 1980年 91分 |
昔、諸星大二郎の漫画に「どうもアリゲーター」というオチのやつがあったが、そんなことはどうでもよろしい。本作は云うまでもなく『ジョーズ』に肖ったバッタもんである。しかし、これが意外な拾いもの。物語は「下水道のワニ」の都市伝説をベースに、モンスター映画の常套アイテム「成長促進剤」を加味したたわいないものだが、人物描写がしっかりしているので、結構面白く見られる。 例えば、主人公の刑事。頭髪が薄くなり始めていて、それを始終気にしている、という情けないヒーロー像が、物語に奇妙な深みを与えている。 それから怪優ヘンリー・シルヴァがイカれた猛獣ハンターに扮しているのも見どころの一つである。彼がワニのウンコを見つけて「これはでかい」と感動する場面には、思わず吹き出してしまった。 で、肝心のワニの方であるが、アスファルトを突き破って登場したりと派手ではあるが、これがまったく怖くない。なにせワニだからね。のったりと歩くので走れば逃げられるのだ。だから、喰われてる奴らがノロマのトンチキにしか見えない。それがこの映画の致命傷であろう。 註 当映画館の御常連なればお気づきであろうが、私は怪獣にはまったく興味がない。拾ってくる写真も人間の変な部分ばかりである。だから、私にはモンスター映画について筆を取る資格はないのだと思う。 |