サランドラ 米 1977年 90分 |
「全米38州で上映禁止!。いま恐怖の頂点を極めて、戦慄のジョギリ・ショックがやってくる!」 と、なにやら物々しい宣伝文句が躍るが、驚くべきことに、この映画には「ジョギリ=宣材にデカデカと描かれたギザギザの刃物」は登場しない。JAROに訴えられても仕方がないような虚偽広告で世間を震撼させた東宝東和宣伝部は、事のあらましを以下のように語っている(註1)。 「これはね、ずっとオクラになってた映画なんですよ。だから日本公開はずーっと遅れて、古い映画になっちゃってたわけです(日本公開は7年後の84年)。そこで古い映画を逆手にとって、遂に解禁、ずっと封印されていたほど恐ろしい映画をいまここに解禁ってね、そういう宣伝方法をしたんですよ」 それで苦しまぎれに「ジョギリ」を捏造したのである。 「ニュー東宝シネマ1の初日に、うちで作ったジョギリを看板に付けておいたの。それで都内の劇場の様子をあちこち見て回って、夕方シネマ1に戻って来たらさ、ウソつきっとか落書きが書いてあってジョギリが折られてるの(笑)。こんなもん出てじねえじゃねえか!っとか。こっちも、いやあ、まいったなあ、とか言って。凄かったよね。看板、蹴飛ばされてるし」 出てこないもので宣伝したら、そりゃ観客も怒りますよ、あなた。わざわざ初日に、ジョギリを楽しみに見に来たってのにさあ。 註1 映画秘宝vol.11「東宝東和宣伝部インタビュー」より |