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残酷猟奇地帯
AFRICA AMA

伊 1971年 104分
監督 グイド・グェラッシオ
   アルフレード・カスティグリオーニ (兼撮影)
   アンジェロ・カスティグリオーニ(兼撮影)
   オレステ・ペリーニ(兼撮影)


 私がこれまで見た中で最も不快なモンド映画である。
 何が不快といって、性と死しか扱っていないのだ。

「いや、待てよ」と諸君は云う。
「『ジャンク』だって死しか扱っていないじゃないか」
 しかし、『ジャンク』にはメリハリがあった。一見明らかなヤラセも交えて、山あり谷ありで楽しませてくれた。然るに、本作は強烈なテンションのまま最後まで突き進むのだ。ダレ場というものがないのである。

「性を扱っているのなら結構じゃないか、エッチで」
 とも云うかも知れない。ところがどっこい、ここで扱われている性はとてもじゃないけどエッチなどと云える代物ではない。割礼儀式にクリトリス切断、張り形による処女膜破損に幼女の大陰唇縫合ってんだから、ああた、見ているこちらは股間押さえてイテテのテなのである。

 ダレ場と思えるシーンもゲイ部落に刺青大会、素手による犬の首ねじり殺し、トンカチによる抜歯、土人のアルビノといった強烈なものばかりで、ダレてる暇を与えてくれない。そして、最後は血みどろの出産シーンで締める。土人から生まれた子は白人というオチには開いた口が塞がらなかった。


 かように強烈なもの(「映像による暴力」とはまさにこのこと)を世に放った連中の名をここに晒しておこう。
 まず、グイド・グェラッシオ。こいつがこの鬼畜連中の親玉である。70年に『知られざるアフリカ』で鬼畜デビュー。コピーに曰く「『世界残酷物語』『さらばアフリカ』でも探し得なかったアフリカの現実!」。ヤコペッティの後続者として過激の限りを尽くす。

「テーマに一貫性はないが、その内容はどぎつく、人間の頭蓋骨に群がった幼虫をむさぼり食う部族や、延々と続くカバの虐殺シーンが登場する」(『キリング・フォー・カルチャー』より)

 この『知られざるアフリカ』で撮影を担当していたのがカスティグリオーニ兄弟とオレステ・ペリーニであり、こいつらが再結集して放ったのが本作と『魔の獣人部落/マジアヌーダ』だ。

「『マジアヌーダ』には、よほどのことがない限り動揺しないジョン・ウォーターズですらも不愉快になったという逸話がある。ハーブ・シュレーダーも『ビョーキだ。ほとんどスナッフといってもいい』と述べている」(『キリング・フォー・カルチャー』より)

 そして、カスティグリオーニ兄弟が独立して撮ったのが『魔界の大陸』である。あまりの鬼畜ぶりに、あの東宝東和でさえ手を焼いたという代物だ。

「どうして我々には『サランドラ』といい、こういう映画しか回ってこないのか」(映画秘宝vol.11「東宝東和宣伝部インタビュー」より)

 この兄弟はこの後『ショッキング・アフリカ』という作品を撮っているが、内容を読む限り、ほとんど『残酷猟奇地帯』と同じである。延々と割礼とクリトリス切断が続くのだそうだ。ブー。


 

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