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黒い太陽731
MEN BEHIND THE SUN

香港 1988年 105分
監督 ムウ・トンフェイ
出演 ウー・タイヤオ
   ティエン・ジェフ
   ワン・ルンシン


 試みに、本作の邦題を検索エンジンにかけてみるとよい。本当にこんな発言ばかり。曰く、
「同じ日本人として恥ずかしくなってしまう」
「アジアの人たちには申し訳ないことをした」
「教科書では教えないことなので、是非見て欲しい」
 本作を貶す発言は一つもないのだ。これって「思考停止」なんじゃないのか?。私は「新しい歴史教科書を作る会」の回し者でも、自虐史観反対論者でもなんでもないただのボンクラだが、ボンクラだからこそ自信を持って云える。「この映画は酷い」と。何が酷いといって、後半に出てくる「少年を生きたまま解剖するシーン」。ここで解剖される少年は、どう見ても作り物じゃない。本物の死体なのである。もちろん、子役を殺したわけではない。彼とそっくりの死体を調達してきて、それをカメラの前で解剖してみせたのである。
 いくら告発映画だからといって、そこまでしていいのだろうか?。
 しかも、最悪なことに本作は、海外では「モンド映画」や「ナチ収容所映画」「食人映画」と同列のキワモノとして売られているのだ。告発の意図など関係なく、残酷を楽しむ映画として重宝されているのである。


 たしかに、本作の残酷描写は「食人映画」なんかよりもよっぽど過激だ。
 例えば、凍傷実験のシーン。「丸太」の女の腕を凍らせて、しばらく放置した後にぬるま湯につけて解凍して、グズグズになったところで皮膚を剥ぐ。骨だけになった腕を見て泣き叫ぶ女。そりゃ驚くよなあ、腕が突然、標本模型みたいになっちまったら。
 しかし、こんな実験、本当にやっていたのかね?。
 もし、本当にやっていたのなら、石井部隊は相当に間抜けだ。こんな無意味な実験に国費を蕩尽していたのなら、日本は負けて当然だ。

 さらに過激なのが、減圧実験のシーンである。ガリガリに痩せた「丸太」の男を気密室に入れて気圧を下げる。すると、みるみるうちに男は膨らんでいき、遂には肛門から腸がブピューッと飛び出すのだ。
 この「ブピューッ」の特撮が驚くほどリアルで、さすがの私もたじろいだ。

 このように、本作は最新のSFXを駆使した残酷描写が満載で、挙げ句の果てには本物の死体解剖まで見せてくれる。
 ここで一つの疑問が浮かぶ。
 これは本当に「告発映画」なのだろうか?。
 告発という大義名分に名を借りた「娯楽映画」なのではないだろうか?。
 いや、私は「娯楽映画」だからイカン、と云う気は毛頭ない。むしろイカンのは、思考停止に陥り、本作をマトモに評価することのできない日本人の方であろう。

註 731部隊が満州で人体実験をやっていたのは本当である。そのことは決して忘れてはならないが、それとこの映画をどう評価するかは、また別の話である。


 

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