ネクロマンティック 独 1987年 72分 |
この原稿を書くために、久しぶりに正続2本を立て続けに観たのだが、いやあ、しんどい、しんどい。グロテスクにはだいぶ免疫が出来ている私も、さすがに気持ち悪くなりました(ピザを喰いながら観たのが悪いのだが)。 屍体マニアのロバートは、自動車事故の屍体処理を専門に請け負う清掃会社に勤務している。そして、ドサクサに紛れて屍体を着服。居所には同じ趣味のベティがおり、腐敗してベトついた屍体と共に3Pを楽しむ毎日。 ネクロフィリアをかくも豪速球で描いた作品はいまだかつて存在しない。若き映像作家ユルグ・ブットゲライトはたちまちのうちに名前を売るが、それはむしろ変態、鬼畜、犯罪者としての名前であり、映画は上映禁止になったばかりか、ネガはもちろん、本作に関わるすべての素材の廃棄処分という裁判所命令を喰らったのであった(かなり厳しい処分だが、ナチズムの経験のあるドイツでは、表現の自由への規制が先進国の中で最も厳しいのだ)。 |
前作で自殺したロジャーの墓を暴く女がいた。その切腹自殺を新聞で読み、その死にっぷりの良さに憧れて、屍体を盗みに来たのである。 続編ももちろん上映禁止、廃棄処分の命令が下った。その後、『死の王』『シュラム』と、同様に死をテーマにした作品を放ったブットゲライトだったが、いずれも上映禁止処分となる。今では当局の監視下にあり、新作を撮れない状態にあるという。そんな中で1995年、日本で公開するために極秘で編集されたのが『ネクロマンティック特別編』。正続2本を一つにまとめたもので、正直云って、このバージョンの方が無駄な描写がなくてベスト。残酷描写におおらかな我が国では円満にブットゲライトの奇想を楽しめるが、それでもチンポコにモザイクが入るのはなんとかならんか。 |
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