『脱走山脈』や『妖精たちの森』『狼よさらば』でお馴染みの名匠マイケル・ウィナーの「名匠だった頃の最後の作品」。
とにかく出演者の顔ぶれが凄い。ホセ・フェラー、マーティン・バルサム、ジョン・キャラダイン、エヴァ・ガードナー、バージェス・メレディスと、錚々たる顔ぶれを脇にズラリと並べ、若手もクリス・サランドン、クリストファー・ウォーケン、ジェフ・ゴールドブラム、トム・ベレンジャーとホープを選りすぐった。オカルト映画全盛の当時としても考えられない豪華キャストであり、マイケル・ウィナーの政治力を感じさせる。
しかし、このウィナーさん、次回作の『大いなる眠り』が興行的に大失敗。以後、チャールズ・ブロンソンとのコンビで『ロサンゼルス』『スーパーマグナム』と『狼よさらば』シリーズを連作。墓穴を掘ることになる。
さて、話を本作に戻すが、要するに『ローズマリーの赤ちゃん』のバリエーションである。ニューヨークのマンションに移り住んだトップモデルが、自殺未遂歴があるためにカトリック教会に選ばれて、地獄の番人=センチネルにされてしまう、という物語。新味はないし、演出も冗漫。明らかな失敗作である。
にも拘わらず、本作は一部でカルト視されている。
何故か?。
ラストで地獄の門が開き、異形の亡者が溢れ出る場面で、本物の畸形が大挙出演しているからである。「二つの顔を持つ男」として知られるボブ・メルビンを始めとして、そのチョイスはなかなかのもの。畸形マニアには堪えられない1本だ。
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