7、8年前に「アミューズ・デンジャラス・ムービー・シリーズ」と題されて『ありふれた事件』や『バッド・ルーテナント』と並んでリリースされた作品である。このシリーズの共通点は「ヤバい」ということであろうか。そして、本作の担当は「フリークス」である。傴僂や躄やシャム双生児や盲といったハンディキャップを背負った連中がギャング団「アクション・ミュータンテ」を組織して、健常者(これもヤな言葉だ)の金持ちを殺しまくる。殺しまくる。殺しまくる。
いい映画だなあ。
ところが、その後の展開はいただけない。せっかく個性的な連中を登場させておきながら、たった20分で早くも仲間割れ。リーダーとシャム双生児の片方を除いて全滅させてしまう。
もったいないなあ。
これによく似た映画があったな。ヤン・クーネン監督の『ドーベルマン』だ。あれも個性的な殺し屋をいろいろ登場させておきながら、ほとんど活躍させずに終わってしまった。これって次元と五右エ門の見せ場がない『ルパン三世』のようなもんだぞ。もう少し考えてから脚本を書けよな。
で、残りの1時間はリーダーとシャム双生児の片方(もう片方は殺されてブラ下がっている)の追っかけっこである。面白くもなんともない。
私としては、『黄金の7人』や『スパイ大作戦』の畸型版として作り直して欲しい作品である。
監督のアレックス・デ・ラ・イグレシアはかつては「スペイン映画界期待の新星」としてもてはやされた存在であったが、最近はめっきりトーンダウン。近作は『どつかれてアンダルシア』である。
なお、本作の東京ファンタスティック映画祭での邦題は『未来世紀ミュータント』であったが、ビデオ化に際して改題された。傴僂や躄を「ミュータント」と呼ぶことにクレームがあったか?。
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