キートンのマイホーム(文化生活一週間)
ONE WEEK
米 1920年 20分
監督 バスター・キートン
エディ・クライン
出演 バスター・キートン
シビル・シーリー
ジョー・ロバーツ
キートンの監督第1作『ハイサイン』はそれほど悪い作品ではない。どこからともなく地上に落ちて来たキートンが、警官の拳銃をネコババし、友情出演のアル・セント・ジョンの尻を撃ち、射的場でズルをやり、それがために悪党の一味となって、護衛を頼まれた相手を殺さなければならないハメになる物語だ。巻末を飾る仕掛けだらけの館内でのドタバタは絶妙である。しかし、キートンの眼には平凡に映ったようだ。オクラ入りにして(翌年に公開)早速第2作に取り掛かる。『マイホーム』である。
旧題『文化生活一週間』のこの作品は、結婚したてのキートンがマイホームを作る物語だ。ところが、恋敵のイタズラにより、なんとも奇妙な家が出来上がる。玄関は2階にあり、風が吹けば家全体がメリーゴーランドのようにクルクル回る。まったく新しい喜劇である。新聞各紙は絶賛した。
「喜劇界における今年最大の出来事」
90年近く経った今でも新しい。キートンは未来永劫に残る作品を作り上げたわけだが、当時の人々はそこまで画期的だとは思ってなかったようだ。愚かなり。
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