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ジョルジュ・メリエス
GEORGES MELIES
(1861-1938)

《主な監督作》
*ロベール・ウーダン劇場に於ける一婦人の消失(1896)
*ゴム頭の男(1901)
*青髭(1901)
*メフィストフェレスの実験室(1902)
*月世界旅行(1902)
*音楽狂(1903)
*生きているトランプ(1904)
*極地征服(1910)






 云わずと知れた特撮映画の父。『月世界旅行』があまりにも有名である。

 ロベール・ウーダン劇場のオーナーにして手品師のジョルジュ・メリエスが映画製作に手を染めたのは、1895年12月28日のシネマトグラフ初上映会に足を運んだことが切っ掛けだった。当初はリュミエール兄弟と同様のドキュメンタリーが中心だったが、或る日のこと、オペラ座広場での撮影中にフィルムが引っ掛かってしまう。これを直して撮影を続行。現像して見て驚いた。なんと乗り合い馬車が突然に葬式馬車に変わってしまったのだ。つまりメリエスはまったくの偶然でトリック撮影を物にしたのである。

 当初は、例えば左の『ロベール・ウーダン劇場に於ける一婦人の消失』のようなトリック撮影(婦人が瞬時で骸骨に)をただ見せるだけの他愛ないものだったが、次第に物語性が加味されて、遂に『月世界旅行』へと辿り着く。1本の映画の中にいくつものシーンがあるというだけでも当時は画期的だった。
 しかし、メリエスの作品はあくまでも舞台を撮影しているという設定で、クローズアップやカメラ移動が取り入れられることはなかった。この辺りが手品師であるメリエスの限界なのだろう。彼は映画を舞台の延長としか見ていなかったのだ。そのために次第に時代遅れとなり没落していく。晩年はモンパルナスのキオスクで店番をしていたという。メリエスほどの人が残念なことである。


↑ロケット着弾で負傷するお月さま


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