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人喰族
MAKE THEM DIE SLOWLY
CANNIBAL FEROX

伊 1984年 95分
監督 ウンベルト・レンツィ
脚本 ウンベルト・レンツィ
出演 ロレーヌ・ド・セル
   ジョン・モーゲン
   ブライアン・レッドフォード
   ゾーラ・ケロヴァ


 一度この手の映画に出演して強烈な演技を披露すると、同じような映画のオファーばかりになってしまうものだ。
 本作の主演男優、ジョン・モーゲン(ジョヴァンニ・ロンバルト・ラディス)もその一人だ。

 ルッジェロ・デオダートによる『鮮血の美学』の亜流作『真夜中の狂気』でデビューした彼は、ウンベルト・レンツィの「元気のいいゾンビ映画」『ナイトメア・シティ』でゾンビの一人を演じ、そして、ルキオ・フルチの『地獄の門』でブレイクする。
(「ブレイク」といっても、この手の映画好みの人々の間でだけなのだが)
 彼が演じたのは、町内から疎んじられているヤク中のボンクラで、いかにもシリアル・キラーになりそうなキャラだが、彼は一人も殺さない。それどころか、町内で巻き起こる珍事件の容疑者として追われて、ガールフレンドの親父に「もう、娘につきまとうな!」とドリルで頭を串刺しにされてしまう。この串刺しシーンは映画のハイライトとなり、新人の彼にとっては実においしい役柄だった。
 ところが、この「おいしさ」がクセモノなのだ。

 続くオファーはアンソニー・ドーソンの『地獄の謝肉祭』。ベトナムで人肉の味を覚え、帰国後も「あの味」が忘れられずに犯行を繰り返す食人鬼役で、ショットガンで撃たれてドテッ腹に風穴が開くという「おいしい役」をまたしても頂戴した。

 その次に来たオファーがこの『人喰族』。遂に主役に昇格だが、ここでの彼は惨々だ。まあ、土人たちに非道の限りを尽くした挙げ句の自業自得の仕打ちなのだが、捕らえられて手首を切られる。そして、柱に縛られてチンポコを切断される。そのまま一昼夜生かされて、翌日になって脳天を寸断されて絶命。脳みそを喰われた上に三枚に下ろされて刺身になる。

 頭を串刺しにされるわ、ドテッ腹に風穴は開くわ、チンポコ斬られるわ、そんな役ばかりで、つくづく因果な俳優である。


関連作品

地獄の門(THE GATES OF HELL)
地獄の謝肉祭(CANNIBAL APOCALYPSE)


 

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