2000人の狂人 米 1964年 88分 |
まだ小学生だった頃、或る映画雑誌に載っていた1枚の写真に私はキモを潰した。ゲラゲラと笑いながら女をバラバラにする男たち。いったい何なんだ、この映画は!。キャプションには『血みどろ魔術師』とある。そんな映画、聞いたこともない。しかし、こうして写真がある以上、存在するのだ。見たい。いったいどんな映画なのか、この眼で確かめたい。以来、『血みどろ魔術師』は私の憧れの1本となった。 それから7年後、私の願いは実現する。空前のレンタルビデオ・バブルの中で本作もリリースされたのだ。タイトルは『血みどろ魔術師』ではなく『2000人の狂人』。もの凄いタイトルだ。(『血みどろ魔術師』は同じ監督の別作品だった)。パッケージを手にした時、「アッ、これだ!、これに間違いない!」と身震いしたのを今でも鮮やかに憶えている。 |
さて、内容であるが、これがもう想像に違わぬ、否、それ以上の、常軌を逸したものだった。 とにかく、ここで繰り広げられるのは「陽気な大殺戮」だった。バンジョーが高らかに鳴り響く中、太陽の下で2000人のキチガイ(実際は30人程度)が乱舞する狂気のスペクタクル。これほどに常軌を逸した映画を私は知らない。 なお、監督のハーシェル・ゴードン・ルイスは世界で初めて人間のはらわたを銀幕に映し出したことで「スプラッター映画の始祖」と称されている人物である。演出はヘボ以外のなにものでもないが、そのヘボさが却って画面にリアリティを与えているから奇妙だ。 |
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