上のポスターに騙されてはいけない。邦題からして一見、007のおっさんが盗聴しているかに思えるが、実はこの写真、左に90度回して見るのが正しいのだ。つまり、おっさんは撃たれて倒れているのである。
邦題にも偽りあり。ショーン・コネリーは盗聴作戦は行わない。彼が行うのは単なるコソ泥である。その計画がたまたま盗聴されていたというだけの話で、盗聴されたから計画が失敗したわけではない。コネリーらが間抜けだから失敗したのである。だから、なにが「盗聴作戦」なのかさっぱり判らない。
なんでも、原作は盗聴された会話のみから構成された傑作らしいのだが、読んでいないのでなんとも云えない。いずれにしても、この脚色は大失敗ということは間違いない。だって、全然面白くないんですもの。
「監督:シドニー・ルメット」のクレジットに「ウソッ」と叫びたくなるような1本である。『十二人の怒れる男』と『未知への飛行』を再見したばかりなだけに驚きもひとしおだ。他にも『質屋』『セルピコ』『オリエント急行殺人事件』『狼たちの午後』『ネットワーク』『デストラップ』と傑作がいっぱいいっぱいの監督さん(淀川調)。だけど、『モーニングアフター』あたりからアカンかったなあ。最近では我がオールタイム・ベストの1本『グロリア』の台無しリメイクでボロカスに云われておりますが、その予兆は本作あたりから始まっていたのかもしれない。
ジョン・ハフの時にも書いたけど、名匠と云えども老いさらばえて行くものなのであるなあ。
しかし、本作、キャストはかなり充実している。
まず、若かりし日のクリストファー・ウォーケン(写真上)。これが映画デビュー作だそうだが、災難なデビューだ。
それから、オカマの故買屋は誰かと思ったらマーティン・バルサム(写真下)。そう。『サイコ』で階段から転げ落ちた探偵さんだ。ルメットとは『十二人の怒れる男』からの仲なので、このキャスティングはちょっとした内輪受けだろう。だって、バルサムがオカマを演じるとは思えないもの。
それから、警官隊の一人に見た顔があって、調べたら案の定、『サタデーナイト・ライブ』第1期に出ていたギャレット・モリスだった。
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