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ウェイン・ナンス
Wayne Nance (アメリカ)



ウェイン・ナンス

 1986年9月4日夜、モンタナ州ミズーラでの出来事である。帰宅したダグ・ウェルズは後頭部をいきなり木材で殴られた。賊の侵入だ。男は拳銃を取り出すと、屋内にいる夫人のクリスに2階に上がるように指示した。そして、ダグを地下室まで引き摺り、柱に縄で縛りつけた上で、ナイフで胸を切りつけた。その後、男は2階に上がり、夫人を強姦したわけだが、ダグは気丈にも自ら縄を振りほどき、地下室に保管されていたライフルを掴むと、賊への報復に打って出たのである。
 互いに撃ち合いになったという。まるで映画のような光景だ。結果、勝利したのはダグだった。床に崩れ落ちた賊の頭蓋骨を銃床で打ち砕き、拳銃を奪うや額にとどめの一撃を喰らわせたのである。

 賊の名はウェイン・ナンス。ウェルズ夫人が支配人を務める店に出入りするトラック運転手だった。おそらく夫人に岡惚れしての犯行だろう。
 その過去を洗った警察は、いくつもの余罪の痕跡を発見した。
 まず、今を遡ること12年前、1974年にミズーラで、主婦のドナ・パウンズが強姦の末に殺害されるという未解決事件があったのだが、当時18歳のナンスは夫人の息子の友達だった。この件も彼の仕業だった可能性が濃厚である。
 また、ナンスの居所からは、1985年12月にモンタナ州ハミルトンで殺害されたシュック夫妻の家から盗まれた陶器の小像が発見された。犯行の手口はウェルズ夫妻のそれとそっくりである。この件もナンスの犯行と見て間違いないだろう。
 更に、その居所からは女性の髪の毛が発見されたが、使われていた染料が1984年12月にミズーラ郊外に遺棄されていた女性の遺体のそれと同じだった。その頃、ナンスは流れ者の女性と同棲していた。その女性は件の遺体発見直前に行方不明になっている。遺体は彼女と見て間違いないだろう。

 以上の他にもナンスは数名の殺害が疑われているが、当人が死んじまっているので、解決の目処は立たないでいる。

(2009年12月12日/岸田裁月) 


参考資料

http://www.crimeZZZ.net/serialkillers/N/NANCE_wayne_nathan.php
http://www.skcentral.com/articles.php?article_id=483


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