オリヴァー・サイリャックス著『世界犯罪百科全書』には、連続殺人犯ジェラルド・スターノの奇妙な「ボディ・ランゲージ」が紹介されている。彼は身を引いて足を組まなければ嘘をつけなかった。そして、真実を話している時は身を乗り出した。取調べはこのようなものだったという。
メアリー・キャロル・マーに会ったことがあるか?
(身を乗り出して)「ああ、車に乗せたことがある」
彼女はひとりだった?
(身を引いて足を組み)「いや、ほかの女と一緒だった」
メアリーは1980年2月17日にフロリダで遺体となって発見された。質問は彼女を強姦したかどうかに移った。
メアリーの力は強かった?
(身を乗り出して)「いや、ちっとも」
では、彼女を殴ったんだね?
(身を引いて足を組み)「いや、抵抗したんで離してやったよ」
すべてがこんな調子だった。やがて質問はトニ・ヴァン・ハドックスの件に移った。
トニ・ヴァン・ハドックスについて何か知ってるか?
(身を引いて足を組み)「いや、知らない」
彼女は黒人だが、黒人女はよく拾うのか?
(身を引いて足を組み)「黒人はあまり拾わない」
ならばトニは?
(身を引いて足を組み)「拾ったことがあるのはそいつだけだ」
取調べに当たった捜査官はこの瞬間、眼の前にいるのが連続殺人犯であることを悟ったという。
結局、スターノは1969年から1980年にかけて34人の女性を殺害したことを認めた。1998年3月23日に電気椅子で処刑されている。担当した刑事によれば、彼は3つのことしか考えていなかったという。オーディオと車と女を殺すこと。単純な男だ。
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