マルセル・プティオ |
マルセル・プティオ 問題のストーブ |
1944年3月11日、ドイツ軍占領下のパリでの出来事である。ルスール街21番地の屋敷の煙突から黒煙が立ち上り始めてからもう5日も経つ。あまりの悪臭に堪え兼ねた近隣の住人が警察に通報した。玄関には鍵がかかっている。2階の窓から侵入した消防士は、玄関から出て来るなり嘔吐した。もう1人が蒼醒めながら警官に云った。 |
問題の屋敷はパリに移ってからのプティオの診療所だった。内部を捜索した警察は、診察室の奥に奇妙な三角形の小部屋を発見した。 |
スーツケースの山を前に困るプティオ でも、平気で居眠りする |
彼の身柄が確保されたのは、パリ解放後の10月31日のことである。髭を生やして「アンリ・バレリー大尉」と名乗り、国軍に紛れ込んでいたのだ。 |
参考文献 |
『連続殺人紳士録』ブライアン・レーン&ウィルフレッド・グレッグ著(中央アート出版社) |