メアリー・ベル |
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1968年5月25日、イングランド北部の都市、ニューカッスルでの出来事である。労働者階級の町スコッツウッドで、鳩小屋を作る材木を探していた3人の少年が、立ち退きになった空家の2階で幼児の死体を発見した。瓦礫で覆われた床に仰向けで横たわり、口からは血が流れていた。そばには空の薬瓶が転がっており、警察は当初、薬の誤飲が死因ではないかと考えた。目立った外傷は見当たらなかった。 マーティンが謎の死を遂げた翌日の5月26日は、メアリー・ベルの11歳の誕生日だった。メアリーはノーマ・ベルの妹スーザン(11)を「お誕生日カードをくれなかった」となじった。そして、首を絞めようとした。悲鳴を聞いて駆けつけたスーザンの父親が、メアリーの手を払い除けた。以来、スーザンはメアリーと遊ばなくなった。 |
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●第1の紙片 |
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●第2の紙片 |
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●第3の紙片 |
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●第4の紙片 この誤字だらけのなぐり書きを警察は悪質ないたずらだと考えた。 |
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その日、メアリー・ベルは学校で日誌を書かされた。 |
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事件から2ケ月が経った7月31日、今度は3歳のブライアン・ハウが行方不明になった。もう夕方だというのに帰って来ない。姉のパットが探していると、2人の少女が近づいて来た。云うまでもないだろう。例の2人である。メアリーが云った。 |
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逮捕されたメアリーは供述を一転させた。殺人への関与は認めたが、すべてノーマがしたことだと云い出したのである。 |
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大嘘つきで感情を持たない少女、メアリー・ベル。看護婦になりたい理由を訊かれて「だって、人に注射針を刺せるもの」と答えたメアリー・ベル。いったいどうしてこのような怪物が生まれてしまったのだろうか? その正確な原因は判らないが、家庭に問題があったことはまず間違いない。 |
参考文献 |
『マリー・ベル事件』ジッタ・セレニー著(評論社) |