けっこう誰でも一度くらいは経験したことがあるんじゃないかとも思います。
そんな大した話でもないんですけどね…
ただ、これが実話かどうかっていうのは聞かないでいただきたいです。
引っ越して間もない頃…。
その部屋は駅から徒歩10分弱であり、かつ6帖にしては
広すぎる部屋で、月3万という格安でした。
ただ、ベランダ、エアコンはなかったですけどね。
しかし、入居してすぐにその「戦い」は始まった… 昼夜を問わず、常に何かの気配を感じた…。
しかし、どれだけすばやく振り向けど、「それ」が何かはわからなかった。
ある夜、寝つきが悪かった為、夜中冷蔵庫に飲み物を取りに行った時、 足元を「それ」が!
あわてて電気をつけると壁に「黒いギャング」!? つまりゴキちゃん。
あわてて新聞紙をまるめて徹底抗戦を繰り広げたけれど
この日からあの長く悲惨な戦いが始まったと言っていいと思う。
それからというもの、遠慮もへったくれもなく
次から次へと挨拶まわりをくり返すゴキちゃんに
律儀にそのつど「お礼」に一撃を…。
まさに一期一会というやつですね。
朝起きると床から「よっ!」と「バシッ」
外から部屋に帰って来ると壁からちょこっとかわいらしく「おかえり♪」「バシッ」
さぁ、寝ようかと思えば「もう寝るの?」「バシッ」
長く悲惨な戦いではあったけれど、明らかに「勝ち戦」と言っていい流れだった。
分が悪い方はいつの時代でも、一矢報いてやろうとするようで
やはりゴキちゃんらもそう思ったらしい。
夜、一人暮らしなので部屋で真っ裸になって
バスタオル一枚持って
いつものようにシャワーを浴びていると
バスタブを洗う為のスポンジの下から
もう慣れっこになったあの「戦友」の気配…!!が!!!
ま、まさかねぇ…と思ってるこちらに構う様子もなく
あたかもイントロが流れる中、ステージのまん中に歩み寄る演歌歌手かのように
急ぐわけでもなく、のんびりするわけでもない足取りで
シャワーをかける金具の下まで歩みいでてきた。
そこで一瞬止まったかに思え、再び、ま、まさか…
その刹那、シャワーを浴びて全身濡れているこちらに向き直り
間髪いれず飛びかかってきたっ!! (絶叫)
まさかと思いつつ危険を察知していたため
シャワーに手を伸ばしていたおかげで
飛びかかるゴキちゃんにシャワーを正面から浴びせ
皮膚に辿り着く前に失速、落下。
あとは排水口に流し込むしかなかった…。
その後、その排水口から出てきたところは目撃していないが
どうしているのか…。
それ以降も「戦い」は長く続いたが
引っ越して3年以上が経過した今、
久しく「彼ら」を見ていない。 (終)