このGWに何かの管球アンプをレストアしようと考えインターネットオークションでゲットしました。このアンプは1962年にリリースされた物なので、小生よりも一年先輩になります。整流にダイオードを使用せず整流管(5AR4)を使用した昔ながらの真空管アンプです。さすがに古いものですから、火を入れると音は全く出ませんでした。当然の事ながら中央に内蔵されたメータも電源投入時に少し振れる程度で全くと言ってよいほど振れません。初段の12AX7は完全に寿命に至っているし、6BQ5にも赤熱が確認されました。早速、レストア状況を以下に紹介致します。 |
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@ | メンテナンス前 ゲットした直後の写真です。全くと言ってよいほど手は加えていないようです。パーツも全てオリジナルで、修理した痕跡もありませんでした。初段の12AX7を取り替えてもやたら眩しくヒータが輝き、ヒータに異常電圧が加わっているように思えました。赤熱もあることから主要なコンデンサーを交換することにしました。また40年以上も前の物なので、さすがに外観の汚れがひどかったのでクリーニングや再塗装も考えました。 |
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ラックスの プリメインアンプ |
14W+14Wの出力 | ||||
LUX SQ5B |
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ご覧のように汚れが酷い | 交換部品や修理の形跡がありません | ||||
A | メンテナンス | ||||
■ GW初日 運転免許更新に府中に行ったものですから、その帰りに秋葉原でコンデンサーを調達しました。コンデンサーは事前に調べてあったので、必要部材を購入すると自宅に直行しました。自宅に到着するとすぐに出力トランスの再塗装を行いました。下地塗装もしていないため、経年で塗装剥がれが生じるかも知れません。まぁ〜、取り合えず綺麗になりました。 |
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出力トランス(OPT)に錆が発生 | 錆取り | こんなに綺麗に | |||
シャシもついでにクリーニング |
塗料は100円ショップで購入した 水性アクリルです。 |
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使用したエアーブラシ | |||||
OLYMPOS HP-63C | |||||
■ GW二日目 主にフロントマスクやポトムカバーを塗装致しました。SQ5Bのカバーはオール塩ビアルミ合板でした。この時代にアルミ材を使用し、かつ塗装の不要な塩ビ合板を使用していることにビックリしてしまいます。出来ることならばオリジナルのままにしたかったのですが、さすがにホワイト部分は汚れが酷く、塗装することにしました。但し、トップカバーはブラウンなので汚れも目立たないことからクリーニングのみでオリジナルのままにしました。 |
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裏面もこんなに綺麗になりました。 ホワイトなので汚れが目立つため 専用手袋で移動させました。 |
ブラウン色のトップカバーの裏面 切り欠き、絞り、あざ折り等素晴らしい物造り です。この時代から素晴らしい加工技術が あったのですね・・・ビックリしました |
新品のように綺麗になりました。 | |||
ボトムカバーの底に回路図のプレートが 貼り付けられています。 |
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■ GW三日目(完成) いよいよ三日目です。今日は30℃を越える暑さの中、コンデンサー交換やカバー類の組み付け、そしてエージングを行いました。 |
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初段の12AX7、プロックコンデンサー、カップリングコンデンサー、バイパスコンデンサー等を交換したら、一発で素晴らしい音がでました。初段の12AX7のヒーターがやたら眩しく輝く件も見事に治りました。 |
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交換したコンデンサー | |||||
メーターの保護(分圧)抵抗が壊れていたため、ついでに秋葉原で抵抗も購入。しかし、本来は4KΩの抵抗のところ誤って400Ωとメモって秋葉原に買出しに行ってしまった。400Ωは規格外と言う事で代替で390Ωを購入した。面倒なのでそのまま390Ωの抵抗を接続すると、すこぶる針振れです。 |
メーター部の回路図を示します。 |
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エージング | |||||
エージング中 トランスにキズが付かない様に保護フィルム を貼り付けて保護しています。 |
メインボリウムが半分程度でも メーターが振り切れる。 |
最終確認中 | |||
冬場は最高な暖房機器となる真空管アンプも真夏には悪魔のような電気機器となります。冷房の無いこの部屋には真空管アンプは本当に辛い。 | 31.5℃ 51.3℃ |
この日(5月1日)はすごく暑い日でした。室内気温が31.5℃もあります。 真空管のルーフスリットの排気口は何と51.3℃にもなっています。 |
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完成写真 | |||||
■ 音楽を聴いての感想 肝心な音ですが、SQ−38Dに似た音質です。はっきり言ってSQ−38Dよりは劣りますが、なかなか良い音を出しますよ。レコードに関しては重々しい割には中高音にしっかりした感じがあります。全ての抵抗やコンデンサーを交換すれば更に良い音が期待できますが完璧でないSQ5Bの魅力を感じたいと思うので、取り急ぎ完成と言う事にします。 |
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■ 最後に 今回のメンテで殆ど完動品となりましたが、ただ一つ気になることがあります。それはメインボリウムを最小に絞ると僅かながら音がスピーカーから出てしまいます。多分、VRを交換すると直ると思うのですが、SQ5Bに使用しているVRは手に入らないことと、使用上差し支えないことから取り合えず現状のままで使用しようと思っています。メーターの保護(分圧)抵抗値の変更(修正)やメーターに使用されているダイオードの交換もそのうちにと思っています。 |
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B | スペック | ||||
SQ5Bのスペックを以下に紹介致します。 | |||||
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使用真空管 | 12AX7(松下製)×3、6AN8(NEC製)×2、6BQ5(不明)×4、 5AR4(松下製)×1 ← 5AR4は整流管 |
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出力・歪率 | 14W+14W (8Ω) ・1% | ||||
外形寸法 | 390(巾)×290(奥行)×155(高)mm | ||||
重量 | 11.2kg | ||||
販売年月 | 1962年8月 | ||||
税抜価格 | 35,100円 | ||||
- SPECIFICATIONS - INPUT TAPE/MAG. PU :50KΩ TUNER/X'TAL PU: 1MΩ SENSITIVITY (1000c/s) TAPE 10W/3.5mV MAG. PU 10W/4.5mV TUNER 10W/250mV X'TAL PU 10W/250mV NOISE (Volume Max,Tone Flat) TAPE -54dB MAG. PU -60dB TUNER -65dB X'TAL PU -65dB OUTPUT 14W×2 4-8-16-32Ω TONE CONTROL ±16dB FREQUENCY RESPONSE : Within -1.5dB 20-20,000c/s POWER COMSUMPTION : 115W 90-110V AC50-60c/s |
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