ラックス(LUX)
SQ5B
プリメインアンプ(2台目)
メンテナンス
 この夏休み(2006年)に何かの管球アンプをレストアしようと考えインターネットオークションでゲットしました。動作保証外だったので、思ったよりも安価にゲットできました。OPT断線等、致命的な故障を心配していましたが、万一修理不能でも現在所有しているSQ5Bの部品取りに活用できそうだったので思い切ってゲットした次第です。入手後、火を入れましたが、左から辛うじて音がする程度で右からは一切音は出ない状況でした。初段の真空管が完全に逝かれており、また6BQ5の4本のうち1本が赤熱していました。

@ メンテナンス前
 ゲットした直後の写真です。前オーナーがかなり改造していました。整流管(5AR4)を取り外しダイオードに変更、5AR4の空いたスペースに電解コンデンサーを搭載、次にプリ部とメイン部を分離したかったらしく裏面のハムパランサーを移設し、そこにRCA端子で入力・出力できるように改造、後は通常のメンテナンスとして幾つかのコンデンサーや高音用VRの交換、ならび真空管ソケットの交換等がありました。
 前オーナーの意向に沿って、更に音質良化する方向でメンテしようと考えています。

ラックスの
プリメインアンプ


14W+14Wの出力
LUX SQ5B
ご覧のように汚れが酷い 5AR4整流管を取り外しダイオードに変更後、
空いたスペースに電解コンデンサーが搭載

されていました。(プロの改造かなぁ?)

コンデンサーの右側にハムバランサーのVR SE-05と表記されたダイオード メンテ前の裏面

カバーは水洗いを行う予定 R-CH 指針のゼロ調整が必要です メーターにS38年11月3日製造の捺印


A メンテナンス  
■一回目(20060812)、二回目(20060820)
  OPTの断線が無いことを確認し、一回目はカバー類の水洗い、そして分解やシャシのクリーニングを行いました。二回目は配線箇所の確認や真空管ソケットの清掃、VR関係の接点洗浄や復活剤の塗布を行いました。改造箇所やメンテ箇所を確認すると一箇所だけ完全な半田ルーズ(半断線)が確認できました。右から全く音が出ない原因は多分、この半田不良と推測しています。

電源トランスやOPTにはフィルムで保護 クリーニング後(大分綺麗になりました) バランス中立のメカ部
 オリジナル性には欠けるが音は整流管より
も良いかも知れません?

エアーで埃を清掃しました 不完全半田箇所です 前オーナーの改造箇所
 TVアンテナケーブルの3C-2Vの同軸が使用されています。個人的にはこのような改造は好きですが、オーディオ用の同軸ケーブルに変更しようと思っています。

ついでにここも修正予定 ゴムブッシュも溶けて無くなっています 交換部品をメモリました
 真空管は高価なので音出し確認後に検討することにします。


■三回目(20060918/20060923)
   先ずはカップリングコンデンサー交換や半田不足箇所の修正を行いました。赤熱が治り左右から音が聞こえた程度です。Rのメーターが破損しています。経年劣化と小生のゼロ調整で壊れたようです。オリジナルのメーターは入手不可であり、また代替品を探したが形状や形式からマッチするものは見当たらない。従ってメーターは取り除くことに決定しました。大きな角穴も見っとも無いことから電源を入れると文字を浮き上がらせるように考えました。そのほかに電源のロータリースイッチの接点箇所が溶断しており接触不良箇所から火花が飛び大変危険な状況です。これら致命的な故障により、オリジナル性は欠けるものの大改造を考えました。早速、必要なパーツをインターネットで手配致しました。その後、主要なコンデンサや怪しい抵抗を4本交換したら見事に甦りました。

エージング中
主要なコンデンサーや怪しい抵抗を
交換し見事に甦りました。
テスト中
AC/DC変換モジュールを経由して
LEDバックライトを点灯させています。
押しボタンスイッチに変更するため
電源ケーブルを引き出します。


■四回目(20060930/20061001)
  いよいよ手配していたスイッチやLEDバックライトの組付/調整です。特にLEDバックライトは物理的な位置決めや輝度調整などが結構大変でした。「LUX SQ5B」の文字も何種類かのフィルムを作成し、SQ5Bとのデザインに似合うフォントに決定しました。フィルムは市販されているOHPシートにプリンタで印刷したものです。1枚ですと露光してしまいますので、同じものを2枚印刷して重ねています。組付け方法はナッターによるネジ、またはリベットを考えていましたが、LEDバックライトモジュールやAC/DC変換モジュールは全て両面テープで取り付けています。今の両面テープは薄くて粘着力が高いのでビックリしました。

電源スイッチ
(Φ12の丸穴加工)
アクリルは組付ける直前まで
保護フィルムを剥がさないようにします
仮点灯
(2倍以上の輝度にUpする予定)


電源スイッチの半田付完了 パイロットランプへ供給していたAC 6V電源を
活用し、AC/DC変換後にLEDバックライトの
電源に供給しています。因みにボリウムで
電圧が変更でき、現在は 4.17V の
電圧に設定しています


上の写真より輝度が高いと思います
この程度の輝度で本設定しています

(実際の文字色はもっと白色に近いです)
断面図はこちらをクリックして下さい
PDF形式でご覧頂けます
音楽を試聴してのエージング 実際はこちらの色に近いです
ブラウンのアクリルなのでフラッシュ
により藤色になるのかも知れません


完成写真

PHONOの音出確認は未だ出来ていません。
まだまだレストアが必要と思っていますが、
取り合えず外観だけは完成しましたので、
完成写真と言う事で・・・


■最後に・・・
  音楽を聴いての感想としては、やはり管球アンプらしい素晴らしい再生音です。若干パワー不足ですが、このアンプの限界でしょうか?しかし、ヤマハ NS-10MMに接続しての試聴なので、感度の良いスピーカーに接続すれば何ら遜色の無いアンプでは無いかと思っています。現在、PHONOからの音出確認が出来ないため、今後、更なる確認やレストアを考えています。今後はB電源のダイオード交換、そしてPHONO入力側の抵抗/コンデンサ交換を考えています。真空管を交換したかったのですが費用がかさむため、今回はそのままとなっています。



■五回目(20061007)
  飽きもせずに再びアンプいじりです。今回は整流ダイオードの交換と電解コンデンサーの交換です。あくまでも聴いての判断ですが、今回のレストアで音は完璧に甦ったと思っています。ただPHONOからの音に迫力が無いと言うか・・・今一なんです。PHONO部はRIAAイコライザーに数多くの抵抗やコンデンサーを使用しているので、大分これらの部品が劣化しているものと思っています。
 昔の抵抗は5%、10%、20%の3タイプの許容誤差があった(現在も規格上は存在するのでしょうが)ものですが、最近購入した抵抗を参考に5本測定したら5本ともジャストの抵抗値だったので驚きです。最近の抵抗はすごく精度が向上されているので、誤差は無しと思って良いほどです。

電解コンデンサー交換後のショット
上の写真をクリックすると拡大します

1000V 2A のダイオード

■六回目(20061014) 最終
  更に飽きもせずに再びアンプいじりです。今回は残されたコンデンサー6本の交換とPHONOイコライザーの抵抗交換を行いました。PHONOイコライザーの抵抗を2本交換したが、抵抗値に特段問題ないことから2本の交換のみで終了です。コンデンサーは今回の交換で全て交換しました。ご覧の通り、オレンジドロップが大半を占めています。
 火を入れての感想としてはとても素晴らしい再生をしてくれました。これで完璧です。真空管のエミ減も無さそうだし、真空管交換はせずに済みました。

上の写真をクリックすると拡大します。 オレンジドロップのコンデンサー



B スペック
 SQ5Bのスペックを以下に紹介致します。
・・・・
使用真空管 12AX7(松下製)×3、6AN8(NEC製)×2、6BQ5(松下?or NEC?)×4、
5AR4(松下製)×1 → ダイオード(SE-05×2)整流に変更
出力・歪率 14W+14W (8Ω) ・1%
外形寸法 390(巾)×290(奥行)×155(高)mm
重量 11.2kg
販売年月 1962年8月
税抜価格 35,100円


- SPECIFICATIONS -

INPUT
TAPE/MAG. PU :50KΩ
TUNER/X'TAL PU: 1MΩ
SENSITIVITY (1000c/s)
TAPE 10W/3.5mV
MAG. PU 10W/4.5mV
TUNER 10W/250mV
X'TAL PU 10W/250mV
NOISE (Volume Max,Tone Flat)
TAPE -54dB
MAG. PU -60dB
TUNER -65dB
X'TAL PU -65dB
OUTPUT
14W×2 4-8-16-32Ω
TONE CONTROL ±16dB
FREQUENCY RESPONSE : Within -1.5dB 20-20,000c/s
POWER COMSUMPTION : 115W 90-110V AC50-60c/s




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