SQ-38FDのメンテナンス状況をご紹介致します。ヤフオクでジャンク(部品取り)となっているものを安く購入しました。安くと言っても名機なので結構、高価です。ACケーブルが欠品していることから出品者は動作確認をしていないというものでしたので、トランスの断線等致命的な不良だけは心配していたのですが、入手した直後に火を入れると何ら問題ありません。但し、ガリはものすごいく、音もシャープなところが全く無い。カバー等の外観問題もありますが、メンテを行えば何とかなるというレベルでした。ACケーブルも無かったため、ACケーブル付の補修用パーツもインターネットで購入し、早速メンテナンスを行いました。 |
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@ | メンテナンス前 ゲットした直後の写真です。全くと言ってよいほど手は加えていないようです。但し、カップリングコンテンサーとOPTだけはLUXに修理依頼をしたのか、半田付けやOPTの名板が違います。しかし、修理したのは購入直後でその後は30年ほどメンテは行っていないように感じます。著しいガリや50C-A10の赤熱もあります。 |
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ラックスの プリメインアンプ |
30W+30Wの出力 | ||||
LUX SQ-38FD |
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見た目の異常部品は無いようです | 50C-A10の真空管を含み12本の真空管 | ||||
A | メンテナンス | ||||
■ まずは全体をクリーニングしました。コンパウンドやクレCRC556等で念入れにクリーニングし、真空管は丸洗いしました。NECロゴは落ちやすいので注意しながらの洗浄を行いました。 |
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50C-A10 NECロゴも残っています | 取り替えたコンデンサや半固定VR | こんなに綺麗に | |||
コンデンサー交換後の写真 | |||||
■ 次に各種測定と調整です。 | |||||
18Kgもあるので転倒したら大変です。 ロープで転倒防止 |
カソード電流調整 30mAなのですが、27mAに調整 次に出力管DCバランス調整 50C-A10の3pin間電流がゼロに なるよう半固定VRの調整 |
プレート電圧(435Vでした)や各種波形を確認 | |||
回路図 |
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電源周りの測定 | |||||
AC100Vの平均電流は1.38[A] | 皮相電力は138[VA] | ||||
最大電流は3.0[A] | 最大皮相電力は300[VA] | ||||
AC100Vは50.0[Hz]を示しています | |||||
■ 次にエージングです。無音エージングや実際にCDやレコードを視聴しながらのエージングです。 | |||||
エージング中 | 四感(視覚・聴覚・嗅覚 ・触覚)チェック | 真空管の赤熱もありません | |||
エージング環境 | |||||
KENWOOD DP-7010 | YAMAHA NS-10MM | オリビア・ニュートン・ジョンのレコード | |||
■ハプニング■ ガリ以外に著しい雑音が左チャンネルからしたが半固定VRを交換することで直った。しかし、真空管を抜き差ししたら今度は右チャンネルからものすごい雑音が発生。メインポリウムを可変しても雑音音量は変化しない。どうやら原因は6267または6AQ8の真空管の接触不良と判明した。原因が判明したら即メンテナンスです。100円ショップで購入したデンタルブラシと接点洗浄剤で念入りにクリーニングしました。あとはものすごい大音量にすると低音部が割れるが、これについてはカソード電流を控えめに設定しているためと考えている。耳を塞ぐほどの大音量では聴かないので、これで完璧と思っています。 |
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ダイソーで購入 |
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緑の物がデンタルブラシ こんな細かい作業って結構楽しい |
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■ 次は木枠の塗装です。木目を出しながらの厚塗りは結構大変でした。 反省点:パテを同じ色にすれば良かった。これは失敗作です。ラジコン塗装で訓練したはず(笑)だが、塗装技術の無さを改めて痛感してしまう。 |
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キズや色あせが目立ちます | ルーバー部のマスキング | 足もマスキング | |||
塗装中 | 塗装完了 | ルーバー取り付け完了 | |||
■ 完成写真です。年代相応にレストア出来たかなぁ〜。 | |||||
結構格好が良い | |||||
■ 音楽を聴いての感想 実際に音楽を聴いての感想は「普通に良い音」です。少し真空管には思えない、特色の無い音色なのでしょうか。SQ-38Dと比較するとSQ-38Dのような繊細な音は出ないがナチュラルで少しパワーを感じます。全てのジャンルに似合うよう設計されているのか、癖の無いアンプです。巷では「やわらかい音」と評価されているようですが、そんな感じのアンプでしょうか。 |
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★ 2008年9月6日故障発生 |
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普通に音楽を聴いていると突然元気が無くなり、その直後にヒューズが飛びました。単純にヒューズが飛んだのではなく故障したことを直感したので、AC100V
側の AC 電流を測定しました。すると電源を入れたのの、数秒でものすごく電流が流れ、6A程度まで流れたので慌てて電源を切断しました。 大事な 50CA10 も赤熱し始めて、電源トランスからも異音がしているので、50CA10 や電源トランスに、かなり負荷が掛かっているようです。そこで早速修理に入りました。 |
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最初は左のダイオード故障を疑い、4つのダイオードを交換致しました。 このダイオードは 50CA10 のグリッド電圧である約−50Vを生成するブリッジダイオードのようです。 次にプレート電圧(約440V)を供給するブリッジダイオード(右のダイオード4本)を交換致しました。 それでも治る事はありませんでした。 |
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結局この日は一旦断念しました。ダイオード故障と疑い直感だけの修理ではやはり駄目ですね。しかし、交換するからには後々の音質改善のため、耐電圧、許容電流、スピードの速い、性能の良いものに交換しています。 | |||||
■ 2008年9月13日修理再開 カップリングコンデンサなどは前回のメンテで完璧になったので、違う箇所の故障と思っています。そんな事をいろいろ考えながら、各所を測定していると、真空管のグリッドに−50Vが加圧されていない事が判明しました。電圧調整用の半固定抵抗などのオープン不良を疑い全ての半固定抵抗を測定しましたが、特段異常はなさそうです。最終的には電源トランスまで遡ったのですが、なんと電源トランスの AC60V が出力されていないことが確認でき、大分不良箇所が絞りこまれて来ました。電源トランス故障であれば致命的ですが、どうやら故障箇所は電源トランスの AC60V 出力付近にある1Ωの抵抗がオープンモード故障であることが判明し、この1Ωの抵抗の両端をクリップコードで短絡させたところ見事に治りました。ただ1Ωのソリッド抵抗は手元には無く、今は半田ブリッジにしています。しかし、この1Ω抵抗は電流測定用ダミー抵抗(*)だと思いますが、まさかソリッド抵抗が故障するとも思っていませんでしたので、今回の修理は結構時間が掛かってしまいました。 |
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赤と黒のクリップの間にある抵抗故障 | 左写真の拡大 | 1Ωのところ、81.4KΩもあります。 明らかにオープンモード故障です |
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1Ω抵抗の故障 | 取り除いた抵抗 | ||||
(*)電流測定用ダミー抵抗 当初は短絡時の保護抵抗だと思っていましたが、よくよく考えて見れば電流測定用のダミー抵抗だとひらめきました。1Ωであるところがミソで、電圧が分かれば電流値が判明します。 電流=電圧÷抵抗 なので、仮に電圧を 30[mV] だとすると、30[mV]÷1[Ω] なので、そのまま 30[mA]と直読できる訳です。回路図をみると、あらかじめこのダミー抵抗が記載されていますので、修理・解析時の効率化のために考慮したものと考えられます。一般的に電圧はテスターで容易に測定できますが、電流測定は容易ではありません。今ではクランプ電流計などがありますが、まだまだ一般的ではありません。 今回はいろいろ測定して故障箇所の特定をしましたが、こういった測定ポイントが分かれば解析が楽なんでしょうね。 |
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B | スペック | ||||
SQ-38FDのスペックを以下に紹介致します。 | |||||
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使用真空管 | 12AX7(松下製)×4、6267(松下製)×2、6AQ8(松下製)×2、 50C-A10(NEC製)×4 |
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出力・歪率 | 30W+30W (8Ω) ・0.7% | ||||
外形寸法 | 476(巾)×335(奥行)×190(高)mm | ||||
重量 | 18kg | ||||
販売年月 | 1970年7月 | ||||
税抜価格 | 98,000円 | ||||
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