後七日御修法
ごしちにち みしほ


東寺は、弘法大師が真言宗を立教開宗された根本道場であります。この東寺で、国家の安泰、世界平和を祈って、真言宗各派総大本山の山主さま(管長さま)と定額僧(じょうがくそう)といわれる真言宗全体から選ばれた高僧方によって、1月8日から14日までの一週間にわたり後七日御修法が執り行われます。この御修法は現在、真言宗の最高の儀式といわれ、千百有余年前には宮中で行われていた行事です。

そもそも御修法はもともと宮中の重要な正月行事として営まれ、宮中では1月1日から7日まで執り行われていたものを、現在は7日後の8日から始めますので後七日と呼んだのです。「宮中真言院後七日御修法」とか「真言院御修法」とも呼び、通称は「みしほ」と呼ばれています。

もともとは唐の不空三蔵が、皇帝の為に始めた例にならい、わが国でも弘法大師が大阿闍梨となって、承和2年の正月8日から14日までの7日間、宮中において修法されました。これ以降、毎年の恒例行事となつております。南北朝の動乱によって中断された時期もありましたが、宮中において連綿と厳修されてきた国家的行事の伝統を伝えています。

近年では、明治4年の廃仏毀釈の影響で、一時廃止となった時期もありますが、明治16年正月より、道場を東寺・灌頂院に移して再興されました。

御修法には真言宗各派総代本山の山主さま 定額僧の高僧方が出仕され、特別の法具を整えて修法されます。灌頂院道場には堂内西側に金剛界曼荼羅 東側に胎蔵曼荼羅を安置して、それを一年交代で本尊として修法します。今年は胎蔵曼荼羅が本尊となる年です。また、息災護摩壇・増益護摩壇・五大尊壇・十二天壇・聖天壇・神供・観音壇などを設け、それぞれの配役の高僧方が同時に修法されるのです。密教最高の儀式として尊ばれる由縁であります。

御修法は、弘法大師の教えを実践し、相互供養(たがいに助け合う)と相互礼拝(たがいに尊敬しあう)の精神で、すべての人々の幸せと、世界平和をお祈り申し上げる大切な行事なのです。
大阿闍梨 大本山大覚寺門跡 片山宥雄大僧正

東寺全景 東寺 五重塔
弘法大師御住房 御影堂 進列の各派総大本山の管長さま

戻る